三菱電機が「AI配筋検査システム」提供開始、配筋検査を省力化:AI
三菱電機は、独自のAI技術「Maisart(マイサート)」を活用し、コンクリート構造物の配筋検査を支援する「AI配筋検査システム」を開発、2021年2月3日より提供を開始した。配筋検査の省力化を通じて建設現場の生産性向上する。
三菱電機は2021年2月3日から、配筋検査技術「AI配筋検査システム」を建設事業者向けに提供開始した。同システムは、同社独自のAI技術「Maisart(マイサート)」を活用し、コンクリート構造物の建設時の配筋検査を支援する仕組みだ。
ステレオカメラを搭載した端末で撮影した画像から、鉄筋の本数、径、間隔の自動計測を瞬時に行えるため、検査にかかる時間や手間を軽減できるという。従来、複数人で行っていた計測と検査を1人で実施できるようになり、配筋検査の省力化により建設現場の生産性向上が可能であるとしている。
同システムは、ステレオカメラ搭載の端末に、天候や鉄筋の状態など条件が異なる配筋画像を深層学習させたAIを実装した「AI配筋計測技術」により、撮影画像から鉄筋の本数、径、間隔を自動計測する。同社実績として、撮影画像からの鉄筋の検出率100%、鉄筋径はD10〜D51の範囲で3ミリメートル単位で判別が可能だ。さらに、鉄筋間隔の計測精度±5ミリメートルなど、高精度な配筋検査を実現するという。
また、同社クラウドとAI配筋検査端末とを連携し、配筋検査帳票の作成、配筋検査、検査報告書の作成まで、手作業による転記なく自動で実施ができる。従来の配筋検査と比較して検査時間を約60%短縮し、作業を効率化した。さらに、出来形管理や写真管理を行う「施工管理システム」との連携も可能だ。
AI配筋検査システムの利用料金はサブスクリプション方式による月額定額制としており、新たにハードウェアを購入する必要がないため、初期投資が抑えられて、資産管理も簡易化できるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 3眼カメラシステム配筋検査を東根川橋上部工工事で実用化
清水建設がシャープと共同開発した「3眼カメラ配筋検査システム」が、東北中央自動車道東根川橋上部工工事の配筋検査で初採用。検査業務の精度を維持しつつ、効率化し、安全性も向上する。 - シャープと清水建設が作業員1人で配筋検査を行える新システムを開発
これまで、配筋検査は、準備から報告書の作成まで多くの時間と労力がかかることが問題となっていた。従来の配筋検査が抱える長い作業時間や多くの人手を要すといった課題をシャープと清水建設は新システムを開発し解消した。 - iPad/iPhoneを使った配筋検査システム「SMileSite」、三井住友建設の全建築現場に適用
三井住友建設は、建築現場での生産性向上を目的に、スマートデバイスを活用した施工管理システム「SMileSite」を同社が手掛ける全建築現場で採用していくことを決めた。 - ゼネコン20社が配筋の施工支援と検査効率改善が可能なシステムの開発を推進
戸田建設や長谷工コーポレーション、奥村組、安藤ハザマなどの総合建設会社20社は、近年、建築土木工事の躯体作業で、熟練工の減少や品質管理の厳格化が顕著になってきている状況を受け、共同で配筋の施工支援と検査効率の改善が行えるAIを活用したシステムの研究開発を推進している。