ゼネコン20社が配筋の施工支援と検査効率改善が可能なシステムの開発を推進:情報化施工
戸田建設や長谷工コーポレーション、奥村組、安藤ハザマなどの総合建設会社20社は、近年、建築土木工事の躯体作業で、熟練工の減少や品質管理の厳格化が顕著になってきている状況を受け、共同で配筋の施工支援と検査効率の改善が行えるAIを活用したシステムの研究開発を推進している。
戸田建設や長谷工コーポレーション、奥村組、安藤ハザマなどの総合建設会社20社※1は2020年3月9日、AIや画像解析を応用した「配筋検査システム」の共同研究開発契約を締結し、2019年4月から2年間にわたり、研究開発を進めていることを明かした。
研究開発では顧客へ高品質な建物を提供するために、施工管理者の習熟度に依存せずに効率的で、正確な配筋検査が行え、建設現場における適切な配筋施工を支援するシステムの開発を目指している。
構想しているシステムは、配筋施工支援を目的にしたタブレット端末による「配筋チェック機能」や検査効率改善を目的とする特殊カメラなどを用いた「配筋検査機能」の両機能を実装する。
配筋チェック機能と配筋検査機能で必要となる設計データは、本研究開発で基本フォーマットを検討し、AIを用いたエンジンによりデータベース化する。配筋チェック機能では、配筋写真を撮影し、ディープラーニングと画像処理を用いて、撮影された配筋の径と本数、ピッチなどを抽出する。
将来的には、配筋映像をベースに、3次元で配筋形状を自動計測できるようにすることを見据えている。さらに、解析したデータを検査項目に合わせて変換・照合することで、配筋検査帳票への自動入力も見込み、実現すれば配筋検査の半自動化につながる。
今後、参画するゼネコン20社は、システムの研究開発を進め、各社で現場試行や改良を繰り返すことで、システムの性能を向上させ、2020年度には配筋チェック機能の現場試行を開始する予定だ。
※1 青木あすなろ建設、淺沼組、安藤ハザマ、奥村組、北野建設、熊谷組、五洋建設、佐藤工業、大末建設、高松建設、鉄建建設、東急建設、戸田建設、飛島建設、西松建設、日本国土開発、長谷工コーポレーション、ピーエス三菱、松村組、矢作建設工業
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