ミサワホームのIoT活用の最新動向、50基のIoT機器を家に設置し課題を調査:OPTiM INNOVATION 2020(3/3 ページ)
ミサワホームは、モデルハウスに50基以上の住宅用IoT機器を設置し、各機器の問題と導入の課題を調査した。結果、IoT機器の中には互換性や通信規格の関係で相互接続できないものがあることやIoT機器の初期設定が難しいことが導入の障壁になっていることが明らかになった。
省エネに貢献する涼風制御システム
Link Gatesの機能には、涼風制御システムや浴室暖房連携、浴槽洗浄連携がある。涼風制御システムは、住宅周辺に存在する微弱な気流「微気候」を利用して、屋内の温度を自動で調整する。例えば、家の天井付近に34度の熱気が充満し、屋外の気温が26度の場合、自動で給気口を開放し、天窓を開けて、シーリングファンを上に回し、天井の熱を逃がす。排熱する際のエアコン使用量を減らせ、エネルギー消費の削減を図れる。
浴室暖房連携は、浴室の温度が15度以下の時に、自動湯張りを行うと起動するもので、湯張りと連動して、浴室の暖房を稼働させ、ヒートショック現象を防ぐ。浴槽洗浄連携は、自動湯張りを使用すると、浴槽の排水栓が自動で開き、湯で浴槽を予備洗浄し、洗剤を噴射して、湯で汚れを落とし、排水線を自動で閉める。
2017年にはIoT機器の導入実験プロジェクトであるConnected50@渋谷も行った。Connected50@渋谷は、経済産業省の省エネルギーなどに関する国際標準の獲得・普及促進事業の1つである「IoT社会実現に向けた住宅設備連携における機能安全に関する国際標準化」で、ミサワホーム総合研究所と産業技術総合研究所が実施したもの。両社は、Connected50@渋谷で、ミサワホームのモデルハウスに50基以上の住宅用IoT機器を機能別と場所別に設置し、各機器の問題を調べた。
林氏は、「Connected50@渋谷を実施した結果、IoT機器の中には互換性や通信規格の関係で相互接続できないものがあることやIoT機器と専用システムをサイバー攻撃から守る手段が無いことが課題だと明らかになった。また、IoT機器の初期設定が難しいことやメーカーによってIoT機器の電波強度が違う点、Wi-Fiルーターと中継器を配置しにくい構造などが、一般消費者がスマートホームを構築する上で、ハードルになっていることも判明した」と指摘した。
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