取り込んだ外気の湿度と温度調整が行える空調システム、将来的に除菌機能も搭載:パナソニックが考える「2020以降の街づくり」(2/2 ページ)
パナソニック エコシステムズは、従来の空調システムに、独自開発した調湿ユニットを組み込み、外気の湿度と温度調整が行える空質システムの開発を進めている。同社は、将来的に、新たな空質システムに次亜塩素酸生成ユニットを組み合わせて、取り込んだ外気を除菌できるようにする。
夏場にエアコンでの室温調整を不要に
新たな空質システムは、従来の空調システムに、独自開発した調湿ユニットを組み込んでいるのが特徴で、調湿ユニットは、遠心水破砕加湿技術ユニットとコイルで構成されている。コイルは冷媒を使用して外気の温度調整が可能で、暑い時期には高温の外気を除湿し、給気ダクトを介して各部屋に送れるため、室内機で室温を下げる必要が無くなる。
一方、遠心水破砕加湿技術ユニットは、水道水を給水することで、遠心力により水を気化させることで外気に湿度を加え、給気ダクトを経由して各部屋に送れ、冬場に室内機で室温を上げることで生じる過乾燥を防げる。また、将来的には、次亜塩素酸水を加湿ユニットに給水できる仕組みを構築し、外気の除菌に応じられるようにする。
パナソニック エコシステムズの岡本氏は、「遠心水破砕加湿技術ユニットは、ドラムの回転で水を吸い上げ、遠心方向に吐出し、内壁に衝突させ、細かい水滴に破砕する。ドラムの回転数で加湿量を制御可能な他、フィルターや貯水トレーを搭載していないため、清掃が不要で、10年間のメンテナンスフリーを実現している」と具体的な機能を解説した。
加えて、「調湿ユニットと次亜塩素酸水を生産する次亜塩素酸生成ユニットを組み合わせたシステムでは、湿度制御と空間除菌が行える。次亜塩素酸水を用いて空間を除菌するジアイーノの場合、約12時間で付着ウイルスを抑制し、約20分で浮遊ウイルスを不活性化できることが明らかになっており、同システムでも同様の効果が得られると見込んでいる」と調湿ユニットと次亜塩素酸水を組み合わせたシステムについて語った。
システムの制御は統合リモコンで行え、システムのワークフローは、熱交換機ユニットから取り込んだ外気を調湿ユニットで、湿度をコントロールし、4方向に分配して、給気ダクトを通して、各部屋に外気を送り込む。
また、パナソニック エコシステムズの調査結果によれば、調湿ユニットを組み込んだ新システムとエアコンを組み合わせて運用することで、適正な湿度に調整することが容易になることが判明している。
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