衛星写真・ドローン・区画技術・AIで空き家発見を効率化、都内で実証実験を開始:ドローン(2/2 ページ)
空き家のデータベースサービスを運営する空き家活用と衛星とドローンで取得した写真やAI、区画技術を用いたサービスを展開するサグリは、空き家の発見を効率化するアプリケーションの開発を進めている。
住宅の電気メーター確認作業などを不要に
サグリは、2018年設立の会社で、データ分析やドローン、人工衛星に知見のあるメンバーで構成されており、衛星写真とドローンのデータやAI、区画技術(GRID)を組み合わせたシステムの開発と提供を行っている。同システムを利用したサービスの1つが、耕作放棄地検出アプリのACTABAで、ACTABAは衛星写真のデータから耕作放棄地を自動で検出でき、これまで目視で行っていた耕作放棄地の確認作業を効率化するとともに、目視結果の入力業務を削減することにも成功した。
同社は、空き家を特定する手法の開発事業では、空き家活用のデータベースや人工衛星とドローンで取得した熱赤外線画像をAIで分析し、空き家が多いエリアをリアルタイムに検出するアプリの開発を担当する。同アプリにより、これまで人が住宅の電気メーターなどをチェックして、空き家かを確かめていた業務の生産性を高める。
衛生写真データとAI技術の建設業界への活用について、サグリの坪井氏は、「現在、河川の氾濫といった災害が起きる可能性を予測し、補修工事の設計を自動で行うシステムの開発を進めており、土木工事の設計システムを展開するパートナー会社の販売チャネルを活用して、システムに3Dデータを組み込むことも果たしている。また、SAR衛星画像で河川の現況を把握し、マッピング化する技術も確立しており、この技術にドローンによる写真撮影を加えることで、詳細な河川の現状確認や道路建設と架橋で必要な修繕箇所を抽出するシステムを実現する」とコメントした。
今後の展開について、坪井氏は、「最適な街づくりを後押しするシステムの開発を推進する。具体的には、土地区画の情報に過去から現在に至るまでの時系列データと人口流動データを地区の区画ごとに配置したシステムで、各社が所有する独自データも合わせて付与できるものを想定している。システムは、区画に対して、どのような施設を配置すると、最適な人の流動が実現可能かを予測するアルゴリズムを組み込み、スマートシティーの構築に役立つものにする」と明かした。
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