清水建設、石こうボード貼工の切断作業効率を大幅に向上する装置を開発:施工
清水建設は、作業員による石こうボードの切断作業をアシストし作業効率を向上させる装置「シミズ・ボードスプリッター」を開発、春日・後楽園駅前再開発建設所での1万枚以上の石こうボード切断で諸性能を確認した。
清水建設は、建築仕上げ工程の生産性向上施策の一環として、作業員による石こうボードの切断作業をアシストする装置「シミズ・ボードスプリッター」を開発した。春日・後楽園駅前再開発建設所において、1万枚以上の石こうボードの切断に使用し、諸性能を確認した。
従来、ボード貼工の全作業時間のうち約3分の1がボード切断に割かれていた状況だった。切断形状が複雑になれば効率が落ちてしまう。さらに電動のこぎりにより大量発生する粉じんの回収、切断面に生じる凹凸のやすり掛け作業といった手間も課題とされてきた。
新開発の同装置は、石こうボードを固定する把持機構、把持したボードに2本のカッターで両面から切り込みを入れる切断機構、切断形状や作業指示を入力するタッチパネルなどで構成する。使用方法は非常に簡単で、作業員が石こうボードをセットしタッチパネルで切断形状と寸法を入力すると、2本のカッターがボードの両面から切り込みを入れる。切り込みを入れるのみでボードを完全に切断しないため、粉じんの発生量が少なく、石こうボードは手で軽く触れる程度できれいに折って切り離すことができる。切込みを深くすることで、切断面がきれいに仕上がり、やすり仕上げが不要である。また、市販のカッター刃を使用できるため、ランニングコストも抑えられるとしている。
春日・後楽園駅前再開発建設所では、同装置の使用により手作業に比べ平均12%、切り込み箇所が多いと50%以上作業を向上させたという。
清水建設は今後、同装置を石こうボードの切断作業が多い鉄筋コンクリート造の集合住宅や病院の作業所に水平展開を図り、将来的には作業所内に石こうボードの切断作業専門のヤードを設け、石こうボードの加工と施工とを分離することで一層の生産性向上を図る考えだ。
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