戸田建設がBIMでタワークレーンの操作を自動化:製品動向
戸田建設は、荷取り場から部材の取り付け位置までのタワークレーンの操作を自動化する「3次元自動誘導システム」を開発した。同社は、新システムと、開発済みの「自動鉄骨計測・建て入れシステム」や仮ボルト不要接合工法「ガチャントピン」、自動溶接ロボットなどを組み合わせ、鉄骨工事の完全自動化を推進する。
戸田建設2020年10月7日、揚重(ようじゅう)作業にかかる負担の軽減と作業効率の向上に向け、タワークレーンの「3次元自動誘導システム」を開発したことを発表した。
2020年度内に実現場で試行をスタート
3次元自動誘導システムは、これまで手動で行っていたタワークレーンの操作をBIMなどを活用して自動で行うもので、画像処理技術を用いた吊(つ)り荷の旋回制御装置や衛星測位技術を使用したタワークレーンの2次元自動誘導システムをベースに開発された。
具体的には、「鉄骨BIMデータと施工計画データの活用システム」や「揚重部材の自動判別システム」、移動ルートを自動作成する「自動通過点算出システム」から成り、荷取り場から部材の取り付け位置までのタワークレーンの作業を自動化する。
鉄骨BIMデータと施工計画データの活用システムでは、鉄骨製作図を基に作成したBIMモデル上に、識別ナンバーの属性情報を付け加える。揚重部材の自動判定システムでは、荷取り地点で揚重する部材に取り付けられたRFIDタグを読み取り、クレーンオペレーターが運転席のモニター上で適切な部材かをBIMデータと照合する。
自動通過点算出システムでは、鉄骨のBIMデータと現場の施工計画と、揚重部材の自動判定システムで読み取ったデータをを基に、各吊り荷の移動ルートを算出する。各吊り荷の移動ルートデータがタワークレーンに送られた後、タワークレーンは自動運転を開始し、荷取り地点から取り付け位置までの自動誘導を開始する。
また、鉄骨部材やブーム先端の位置と加速度などの情報は、タワークレーンに設置したGNSSアンテナやセンサー、高感度カメラで収集して、クレーンの機体制御を行う。
戸田建設は、2020年度内に実現場で、新システムの試行をスタートし、2022年には実施工を目指す。
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