プラントの空間設計で工数8割減、1000本の配管を60秒で自動ルーティングするCAD:CAD
長年にわたり、改善されなかったプラント業界の非効率な設計ワークフローを一新するCADソフト「PlantStream」が登場した。約1000本の配管を60秒で自動ルート決めするなど、事前調査から詳細設計までの工程で、高速かつ高精度の自律設計が実現する。
PlantStreamは2020年9月7日、大規模プラントを“自律設計”するCADシステム「PlantStream(プラントストリーム)」を発表した。
PlantStreamは、千代田化工建設とCAD開発に特化したスタートアップArentが設立したジョイントベンチャー。社名と同名のPlantStreamは、大規模プラントの設計を担ってきた熟練エンジニアの膨大なノウハウをアルゴリズム化し、精度と速度の双方で世界最高レベルとする自動設計を実現した。
自律型CADのPlantStreamは、3つの機能を備え、採算性調査(FS)から詳細設計まで、エンジニアリングの全工程を効率化させる。機能の一つ「3D Plot Plan Study」は、各種ユニットやパイプラックなどの要素をドラッグ&ドロップで自在に配置。3D表示なので直感的に捉えやすく、離隔距離や風向きを考慮しつつ、FSや基本設計前の段階で、フロントローディングとして早期にさまざまなモデルを検討することができる。
また、Auto Pipe Routingは、1分間で約1000本の配管を自動ルーティングし、パイプラック内の並び順や段数割、流体やつながり先に応じた並びなど、エンジニアの現場ニーズをくみ取った現実的な仕上がりの3Dモデルを構築する。
設備機器周りの配管は、限られたスペースで施工性、操作性、保守性、安全性など、多くの要求事項を考慮する必要があるが、設備機器とその周辺配管レイアウトのひな型を搭載しているため、要求に沿ってパラメーターを調整するだけで、直感的に3Dモデルを編集できる。
PlantStreamの導入効果としては、仕様変更や人材不足などにより、長期化しがちだった工期を劇的に圧縮し、コストも低減する。プラントの基本設計業務のうち、空間設計に掛かる工数の8割を削減し、今までの約5倍の速度で3Dモデル作成が可能になる。同時に、従来2次元で行われていた配置計画を3次元化することで、柔軟かつ詳細に事前検討が行え、定量的に相対比較が可能となり、見積もり精度の向上にもつながる。
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