新菱冷熱工業らが都内のビルにダクトレスを実現する新空調システムを初導入:導入事例
新菱冷熱工業と三菱地所設計は2019年、芝浦工業大学や協立エアテックとともに自律式風速一定器具「Air-Soarer」を開発。このほど、Air-Soarerを利用した「変風量コアンダ空調システム」を東京都千代田区の新菱神城ビルに初導入した。
新菱冷熱工業と三菱地所設計は、東京都千代田区の新菱神城ビルに、「変風量コアンダ空調システム」を導入した。
コアンダ空調は、空気が天井を這うように流れるコアンダ効果を利用し、ダクトレスで空調空気を運ぶ空調方式。新菱神城ビルに変風量コアンダ空調システムを導入することで、高い天井高を確保しつつ、フロア全体の換気効率を上げられ、より快適で省エネルギーなオフィス空間を実現した。
新菱神城ビルは、2018年7月1日に着工し、2020年7月31日に竣工した建物で、変風量コアンダ空調システムを搭載するにあたり、三菱地所設計は変風量コアンダ空調システムの考案や製作、検証全体のオーガナイザーを担った。新菱冷熱工業は変風量コアンダ空調システムの効果予測と検証や施工を担当した。
変風量コアンダ空調システムは、自律式風速一定器具「Air-Soarer(エア-ソアラー)」を用いることで、空調機が吹き出す風量の増減にかかわらず、一定の吹き出し風速を保て、従来の定風量コアンダ空調システムでは困難であった少風量時でも遠方まで新鮮な外気を届けられる。また、換気に優れているため、ウイルス感染の対策にも役立つ。
省エネルギー性が高いのも特徴で、従来の定風量ダクト空調と比較して、搬送動力を約65%削減する。加えて、ダクトレスのため、従来のダクト搬送方式と比べて天井内のダクトスペースが不要になり、天井高を高くできる。
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