建設業への影響は軽微、ヒューマン総研がコロナ禍での雇用環境を独自分析:産業動向(2/2 ページ)
ヒューマンタッチ総研は、新型コロナウイルス感染症拡大が急速に悪化しつつある現在、建設業の雇用環境にどのような影響を及ぼしたか、各種統計から独自に分析した。レポートによれば、建設業の業況は、他産業に比べて比較的好調であり、新規求人の落込み幅も全産業で最小だったことが判明した。
■建設技能工の新規求人は5.3%減、建設技術者は13.9%減
ハローワークにおける新規求人数の前年同月比増減率を職種別に調べると、減少率が最も低いのが建設・採掘の職業(建設技能工)の5.3%減。次いで建築・土木・測量技術者(建設技術者)の13.9%減の順となった。
他方で、事務職は64.8%減、生産工程の職業は64.7%減、販売の職業は52.1%減といずれも50%以上の大幅な減少率を示しており、他の職種と比較すると、建設技能工と建設技術者は際立って減少率が低いことが分かる。
ヒューマンタッチ総研所長 高本和幸氏(ヒューマンタッチ代表取締役)は、「新型コロナウイルス感染症拡大により、雇用環境が大きな打撃を受けたのは、宿泊・飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、製造業であり、建設業への影響は他業界と比較すると軽微であったと考えられる」と話す。
その背景には、「日銀短観の結果からも言えるように、新型コロナウイルス感染症拡大が建設業の業況にあまりマイナスの影響を与えなかったこと、建設技術者や建設技能工といった職種が、AIなどで省人化の余地が比較的少ないことがあるのではないか」と推察している。
今後については、「コロナ禍の状況に大きく左右されるが、国土交通省の建設総合統計によると、2020年4月の手持ち工事高が30兆7806億円(前年同月比2.5%増)と高水準にあることや九州地方や中部地方を中心に甚大な被害をもたらした“令和2年(2020年)7月豪雨”からの復興需要に対応しなければならないこと、国土強靭化計画の推進は避けては通れない最重要課題であることを踏まえると、建設業の人材需要は今後も堅調に推移すると予測できる」」とコメントしている。
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