建設業の人手不足は全産業中で最多、厚労省の過不足判断DI:産業動向(1/2 ページ)
ヒューマンタッチ総研は、国内における建設業の人材市場動向をまとめた2020年7月分のマンスリーレポートを公表した。今回のトピックスでは、厚生労働省の「労働経済動向調査」をベースに、産業分野別で労働者の過不足状況どのように変化しているのかを分析している。
ヒューマンタッチが運営するヒューマンタッチ総研は、国内における建設業の人材市場動向をまとめたマンスリーレポート「ヒューマンタッチ総研〜Monthly Report 2020年7月」をリリースした。
■新型コロナが建設業の雇用環境に与えた打撃は比較的小さく、人手不足が続く
景気の変動が雇用などに及ぼす影響や今後の見通しについて調査している厚生労働省「労働経済動向調査」を基礎資料に、産業分野別の正社員などの過不足判断DI※1を見ると、2020年5月の建設業はプラス46ポイントで、全産業分野の中で最も人手不足感が強まっている(図表1)。
※1 過不足判断DI(Diffusion Index):不足と回答した事業所の割合から、過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値で、値が大きいほど人材不足にあることを表している。
5月の調査は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、前回(2020年2月)調査よりも12ポイント減と低下はしているが、低下幅は比較的小さく、建設業における人手不足は厳しい状況が続いている。
一方、過不足判断DIが最も大幅に低下したのは、宿泊業・飲食サービス業で、前月より26ポイント低下、次いで生活関連サービス業・娯楽業が同22ポイント減。これらの業種では、新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛などの影響が色濃く表れていることが分かる。
■建設技術者、 技能工の人手不足は依然として深刻
建設業の過不足判断DIを職種別にみると、最も高いのは建設技術者の50ポイント(前回調査より18ポイント低下)、次いで技能工の48ポイント(同12ポイント低下)となっており、大幅に低下したとはいえ、どちらも高水準にある。
新型コロナウイルス感染症拡大後に、やや緩和はしているが、建設技術者と建設技能工の深刻な人手不足はいまだに継続しているとみられる。
建設業の就業者数は486万人、雇用者数は401万人でともに減少
雇用関連の月次データでは、2020年5月の建設業就業者数は486万人(前年同月比97.4%)、雇用者数は401万人(同97.8%)でともに減少した。一方、公共職業安定所(ハローワーク)の新規求人数は、6万1954人(同90.0%)と、5カ月連続で前年同月を下回る形となった。
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