「一般職業紹介状況」に見る建設技術者の転職動向、2月に求人倍率が4年8カ月ぶりに前年割れ:建設業の人材動向レポート(20)(1/2 ページ)
本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向をさまざまな観点からレポートしている。今回は、「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」の最新データから転職市場の動向を紹介する。
今回は、雇用環境について分析する際に有効なデ−タを得ることができる主要な統計の一つ「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」から最新のデータを調査した。
「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」は、厚生労働省が公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況(新規学卒者を除く)をとりまとめ、求人倍率などの指標を作成することを目的とした統計で、月に1回公表される。
この統計で公表される主な指標は、求人倍率、求人数、求職申込件数、就職件数などがある。
■2019年の有効求人倍率は低下に転じた
最初に、全体の有効求人倍率(新卒を除き、パートを含む)※1の推移を見ると、2010年の0.52倍から毎年上昇を続け、2018年には1.61倍に達したが、2019年には1.60倍となり僅(わず)かながら低下に転じた(図表1)。また、有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率についても、2019年の前年比上昇率は+0.03ポイントであり、2018年の+0.15ポイント上昇と比較して上昇率は低下している(図表1)。
これらのデータから、年々厳しくなってきた人手不足も2018年をピークに緩和に転じるのではないかと推測される。
※1 有効求人倍率とは、ハローワークの月間有効求人数を月間有効求職者数で割ったものであり、求職者1人あたり何件の求人があるかを示すものである
■ハローワークの求職申込件数は大幅に減少
新規求人数と新規求職申込件数の推移を見ると、新規求人数は2010年の57万1476人から毎年増加し続け2018年には97万6762人に達したが、2019年には95万8768人となり減少となった(図表2)。ここからも、2018年をピークに、企業の採用意欲が若干下がり始めていることが分かる。
一方、新規求職申込件数は2010年の64万4847人から年々減少し続け、2019年には39万5998人にまで減少している。このようにハローワークの求職申込件数が減少する要因としては、民間の人材紹介会社を利用して転職する人やインターネットの求人サイトで転職先を探す人が増えたことが考えられる。
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