三菱地所が進める大手町ビル大規模改修の全貌:住宅・ビル・施設 Week 2019(1/3 ページ)
三菱地所は「OPEN INNOVATION FIELD」をテーマに掲げ、大手町ビルの大規模改修計画を中心に、丸の内エリアと大手町エリアの開発を進めている。
三菱地所 代表執行役 執行役専務 千葉太氏は、リード エグジビション ジャパン主催の建設全般を対象にした総合展「住宅・ビル・施設 Week 2019」(会期:2019年12月11〜13日、東京ビッグサイト 青海展示棟)で、「大手町ビル/大規模リノベーション計画(100年ビルへの挑戦)」と題した講演を行った。
講演では、2018年5月下旬からリノベーション工事が始まった大手町ビルの改修計画について紹介した。
既存ストックの活用や小割貸付に適したフロア形状を実現するため改修
大手町ビルは、RC造地上9階/地下3階/塔屋3階建てで、延べ床面積は11万1272平方メートル。所在地は東京都千代田区大手町1丁目6番1号で、敷地面積が10496.03平方メートル。着工は1956年5月で、1958年4月に竣工した。設計は三菱地所設計が担当し、施工は大成建設が担った。
リノベーション工事は、設計・施工ともに、建設時と同じで、三菱地所設計と大成建設が担当している。内装デザインはメック・デザイン・インターナショナルが担い、工期は2018年5月下旬〜2021年3月を予定しており、一部のエリアは、2021年4月以降に改修を実施する見通しだ。
千葉氏は、「既存ストックの活用や小割貸付に適したフロア形状、最新技術の導入を実現するため、改修に至った。既存ビルに敷設された床面の改良と、上下階の移動により偶発的なコミュニケーションが発生しやすい低層ビルの利点を生かしたいという思いもあった」と話す。
リノベーションは、外装デザインと内装デザインの刷新や就業者向けラウンジとテラスの整備、屋上空間の活用、個性豊かな企業へのリーシング、他拠点の連携に重きを置いた。
外装デザインでは、建物の東西に接する「大名小路」と「日比谷通り」、建物中央部分を南北に貫通する「丸の内仲通り」の歴史的背景やイメージを反映している。
大名小路に面する東側は、東京駅や日本工業倶楽部にも用いられている煉瓦(れんが)を基本素材に採用し、日比谷通りに面する西側は、皇居の堀や二重橋などを想起させる石垣をモチーフとしたデザインにして、丸の内仲通りが貫通する中央部分は通り抜け感を演出するガラス素材を壁材に使用した。
外壁素材には主に、通常のセメントに比べ高い引張強度と曲げ強度に優れる「耐アルカリ性ガラス繊維補強セメント(GRC)」を採用することで、将来的な管理コストの低減を図っている。窓ガラスは、一部に断熱性に優れた「Low-E 複層ガラス」と「日射フレーム」を設けることで、環境面での性能を高めている。
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