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削孔管の引き抜き不要で湧水帯の湧水量と水圧を測れる「T-DrillPacker」山岳トンネル工事

大成建設は、山岳トンネル工事で、調査ボーリング削孔中に発見した湧水帯の湧水量と水圧を効率的に測れる技術「T-DrillPacker」を開発した。T-DrillPackerは、削孔途中に削孔管の引き抜きがいらないため、既削孔区間での孔壁崩壊といったリスクを避けられる。また、ボーリング削孔途中でインナービット回収とパッカー挿入を迅速に行え、従来のように削孔管を全て引き抜く方式と比べ、測定時間を20%減らせる。

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 大成建設は、湧水の大量発生が予測される山岳トンネル工事で、調査ボーリング削孔中に遭遇した湧水帯の湧水量と水圧を安全かつ効率的に測定する技術「T-DrillPacker」を開発した。

従来方式と比べ測定時間を20%削減

 山岳トンネル工事では、施工中に大量の湧水が発生すると、トンネル切羽の崩壊や坑内の水没などが生じ、工事の安全や工期、工費に影響を及ぼす。そのため、湧水の発生があらかじめ予想されるトンネル工事を施工する際は、調査ボーリングを行い、前方に存在する複数の湧水帯の位置や湧水量、水圧を確実に把握し、事前の湧水対策を図る必要がある。

 従来、ボーリング削孔中の湧水測定では、削孔管の引き抜き後、パッカーと呼ばれる袋状の部材を先端部分まで挿入し、膨張させて止水することで、湧水帯の状況を計測する必要があった。


従来技術(左)と「T-DrillPacker」(右)の比較 出典:大成建設

 また、削孔を継続する場合は、測定後にパッカーを引き抜き、再度削孔管を挿入し、ボーリング作業を行っていた。しかし、これまでの作業方法は時間を要し、削孔管の引き抜き時に孔壁崩壊などのリスクを伴う他、掘進長の長いボーリングでは施工が困難なだった。

 そこで、大成建設は、ボーリング削孔中に湧水帯に発見した場合、削孔管を引き抜くことなくパッカーを挿入し、ボーリング先端の湧水量と水圧を測れる新たな技術「T-DrillPacker」を開発して、現場試験でT-DrillPackerの有効性を確認した。

 T- DrillPackerの施工手順は、まず、外側にアウタービットを搭載し、内側にインナービットを備えた二重ビットをボーリング削孔管の先端に装着し、回転させながら地山を掘削する。湧水帯に遭遇した際は、削孔管からインナービットだけを引き抜いて回収。


外側にアウタービットを搭載し、内側にインナービットを備えた二重ビット 出典:大成建設

 次に、ボーリング削孔管を湧水帯の手前まで後退させ、インナービットを引き抜いた削孔管内に湧水圧測定用のパッカーを挿入する。パッカーは掘削した穴を直径40ミリから110ミリまで拡張できる。削孔管を引き抜くことなく、アウタービット先端にパッカーを突き出し拡張させ、孔壁に密着させた状態で湧水量と水圧を測定する。


湧水圧測定用パッカー

 T-DrillPackerの特徴は、削孔途中に削孔管の引き抜きが不要なため、既削孔区間での孔壁崩壊といった危険を避け、安全に湧水の状況を測れる。また、ボーリング削孔途中でインナービット回収とパッカー挿入を迅速に行えることで、従来のように削孔管を全て引き抜く方式と比較すると、測定時間を20%短縮する。

 さらに、測定完了後、パッカーを収縮し引き抜き、インナービットを水圧により先端部まで圧送して削孔管内に再設置することで、容易に削孔を続けられ、その後も削孔中に必要な箇所で同様の施工手順で、湧水量と水圧を繰り返し測れる。

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