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建設3Dプリントの市場、COVID-19の影響で2020年半減も2023年にV字回復産業動向

グローバルインフォメーションは、建設領域での3Dプリンタ市場の予測をまとめたレポートを公表した。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で大幅縮小とするものの、2023年には推定1億2000万ドルの147%の急成長を遂げるとしている。

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 グローバルインフォメーションは、市場調査レポート「建築・建設業向け3Dプリンティングの世界市場の分析(2020〜2030年):成長過程と新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の影響(The Business Research Company)を2020年7月31日に発売した。

2020年は年平均成長率が35.76%に縮小

 レポートでは、3Dプリンティングビル建設の市場規模は、3Dプリンタでビルを建設し、関連サービスを提供する事業体(団体、個人事業者、組合)の販売収益で構成されている。3Dプリンティングまたは積層造形は、コンピュータ制御での材料の連続的な積層で、3次元形状を作成することを指す。建設業界では、3Dプリントは、建物を構成する部材の製造や住宅や橋など建物そのものを作成するために使用されている。

 国内でも、設計段階のモックアップ制作だけでなく、スーパーゼネコンを中心に独自にマテリアル(素材)を開発し、構造物そのものを出力するための実用化が検討されており、2019年には日本を含むアジア太平洋地域が最大のマーケットになったという。


大林組が3Dプリンタで製作した7メートル幅の大型ベンチ 出典:大林組

 全世界の市場予測では、2019年の400万ドルから2020年にはCOVID-19による影響によって200万ドルへと減少し、CAGR(年平均成長率)は35.76%に縮小することが見込まれる。しかし、その後、市場は回復し、2023年にはCAGR147.79%で、1億2000万米ドルに達すると予想されている。

 将来的に市場が成長する理由として、合理的なコストで規定の時間内に複雑な構造物を構築する能力は、需要をけん引していくと指摘。とくに3Dプリンティングのビル建設は、費用対効果が高く、時間の節約、精度の向上、安全性の向上、人件費の削減、環境への配慮、複雑な建築構造物の構築を容易にする。

 2018年1月に発行された「3D Natives Magazine」では、建設領域の3Dプリントは、従来の製造プロセスと比較した場合、材料の使用量の点で経済的であると報告されている。他にも、人件費を50〜80%、生産時間を50〜70%、建設廃棄物も30〜60%削減することが期待されている。

 しかし、マイナス要因として初期設備投資が高いことが、今後のマーケットに影響を与えることも懸念されている。3Dプリンタの高額なコストとメンテナンスは、業界関係者にとって課題となっている。3Dプリンティング建設会社のWinsun 3D Buildersは、3Dコンクリートプリンタの高額な初期費用のため、中小企業にとっては、資本投資と適切な建設プロジェクトが必要としている。このプロセスの立ち上げに要する高い初期資本が、これからの市場成長を阻害するのではないかとも分析している。

 レポートでは、建設別に、モジュールとフルビルディングに分類。プロセスでは、押し出し、粉体接着、その他の各手法、印刷材料では、コンクリート、プラスチック、金属、ハイブリッド、その他、エンドユーザー別には、住宅、商業、工業に分けて調査している。

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