戸田建設は、2020年3月から同社が手掛ける旧本社ビル解体工事で使う建機の燃料に、環境負荷が少ない軽油代替燃料「GTL燃料」の利用を開始した。東京都内の建設作業所では初の事例となる。
天然ガス由来のGTL燃料は、国内では伊藤忠エネクスが輸入販売をしており、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」にも登録されている。軽油と比較すると、CO2排出量を約8.5%減らせ、ススも少なく無臭。また、軽油よりセタン価が高く着火性も良好で、低温性能に優れ、寒冷地で凍りづらいという特徴もある。4年間保存しても、軽油に比べ状態が変化しないなど、貯蔵安定性に優れている。
今回、適用する旧本社ビル解体工事では、GTL燃料を約13万リットル使用する。現在、国内でGTL燃料を導入している現場は、中部や関西、関東のエリアに限られているが、同社では採用実績を積み重ね、対象エリアを拡大していく。
現場で排出しているCO2の約40%は、軽油の使用に起因しているため、GTL燃料の活用は、大きなCO2排出量の低減につながる。さらに、GTL燃料は、建機の機種を選ばず、ススの発生が少量で窒素酸化物や粒子状物質を低減できるため、今後はトンネル工事の作業所で役立つとされている。
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