清水建設JVが、インドネシアで都市高速鉄道の開発を第1期に続き受注:プロジェクト
清水建設は、経済成長が著しいインドネシアを海外事業の主要拠点の1つと位置付け、技術力を生かせる大規模工事をターゲットに営業活動を展開している。
清水建設はこのほど、インドネシアの国営建設会社アディカリヤと共同企業体(JV)を組成し、ジャカルタ都市高速鉄道(MRT)の南北線2期工事で、最初に発注された201工区を受注し、着工した。発注者はジャカルタ都市高速鉄道で、請負金額は約340億円となる。
ジャカルタMRTは、インドネシア初の地下鉄を含む都市高速鉄道(MRT)で、1期工事の中央ジャカルタと南ジャカルタを結ぶ全長15.7キロの区間は2019年3月に開通した。1期の土木工事は、6工区に分けて設計施工一括方式で発注され、清水建設はJVの幹事会社として2工区、構成企業として1工区の計3工区を担った。
今回発注された2期工事は、1期工事の区間から北方向に約11.5キロ延伸する計画で、11駅舎の建設を含む。既設の「H.I.前ロータリー」駅から「コタ」駅間の地下区間をA区間、コタ駅から「アンチョール」駅間をB区間とし、A区間は2024年、B区間は2027年の開通を目指している。
201工区は、A区間内にある4工区で行われる土建工事の1つで、HI前ロータリー駅から「ハルモニ」駅(2期工事202工区)までの施工延長2681メートルの区間となる。地下2層で成る駅長240メートルの「タムリン」駅や同260メートルの「モナス」駅、214メートルの開削トンネル、仕上がり内径が6.05メートルで延長1967メートルに及ぶシールド2本(上下線)の建設も含まれている。工期は2020年3月から2024年12月までで、タムリン駅は南北線の完成後に開発が計画されている東西線との乗換駅となる予定だ。
清水建設とアディカリヤから成るJVが、南北線2期工事を受注した理由には、入札に際し、設計・施工の両面から、軟弱地盤対応が求められるタムリン駅や開削トンネルの施工で、懸念される課題を明らかにして対応策を提案したことと、1期工事の実績が発注者から評価されたことがある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 清水建設がEDGEMATRIXに出資、エッジAIを使った“スマートビル”2020年に実証へ
清水建設やNTTドコモらから出資を受け、カメラ映像を取得したその場で解析する“エッジAI”の事業を本格化させるEDGEMATRIX。現在、清水建設と、ビルのカメラやセンサーで取得したデータをAIで分析し、セキュリティや効率的な運用に役立てるスマートビルの実用化に向けた共同開発を進めている。早ければ、2020年上期には、建物(施設)のIoT・AIプラットフォームの実証実験に着手するという。 - ゼネコン各社の“新型コロナ対応策”・清水・大林・鹿島ら現場を大型連休後まで原則閉所、竹中も方針表明
清水建設が政府の緊急事態宣言で対象地域が拡大された影響を受け、13都道府県の建設現場を宣言終了まで閉所することを決めた。この動きに呼応する形で、スーパーゼネコン3社をはじめ、建設業各社でも、現場を閉じる対策が拡大している。 - LCV事業で“設計・施工”後の収益を模索する清水建設の取り組み
清水建設は2030年度に非建設事業で連結経常利益2000億円以上を目指している。非建設事業の要となるLCV事業では、WELL認証取得の後押しや定額制で施設設備を利用できるサービスなどを展開している。清水建設 常務執行役員 LCV事業本部長の那須原和良氏は、都内で開かれた展示会「住宅・ビル・施設 Week 2019」で、講演を行い、LCV事業の概要や事例などを紹介した。 - 「鉄筋継手」をAIで自動検査、NTTコムウェアと清水建設が2020年に試験運用へ
NTTコムウェアは、業務量が膨大な一方で、熟練者の経験に依存している鉄筋継手の検査業務を、独自のAIで自動化する技術を開発した。スマートデバイス上のアプリから撮影するだけで、継手部分の球の形状が適正化かを判定する。2020年中の実用化を目指し、同年1月から、ともに開発を進めてきた清水建設の実現場でトライアルを開始するという。