2019年度の工事受注高は5.2%減の82.4兆円、国交省調査:産業動向(2/2 ページ)
国土交通省は、公共機関や民間企業からの工事受注額を発注者別や業種別、工事種類別、地域別にリサーチした建設工事受注動態統計調査を毎月行っている。2019年度の結果では、建設会社全体の受注高が前年度比5.2%減となる82兆4209億円になった。内訳では、元請受注高が減少した一方、下請け受注高が増えた。
公共機関からの受注工事額は7.7%増
公共機関からの受注工事額(1件500万円以上の工事)は前年度比7.7%増となる15兆9670億円。全体のうち政府関連機関からが同比6.5%増となる5兆4834億円で、地方公共機関からは同比8.3%増となる10兆4836億円となった。
政府関連機関から受注した工事額の内訳は、国が同比6.7%増となる2兆9305億円、独立行政法人は同比1.7%減となる6352億円で、政府関連企業などは同比9.1%増となる1兆9177億円だった。
地方公共機関から受注した工事額の内訳は、都道府県が同比9.4%増となる4兆1351億円、市区町村は同比7.1%増となる4兆7625億円、地方公営企業は同比14.1%増となる1兆1989億円で、その他は同比4.3%減となる3871億円。
工事分類別にみると、受注工事額が多いのは、道路工事4兆7084億円や教育・病院2兆1614億円、治山・治水1兆8983億円の順。発注機関別と工事分類別で、受注工事額が多かったのは、市区町村が発注した教育・病院工事1兆3630億円、次いで都道府県による道路工事1兆2887億円、政府関連企業などが扱った道路工事1兆2664億円だった。
受注工事額が高かったのは住宅や工場・発電所
民間会社からの受注工事で、建築工事と建築設備工事(1件5億円以上の工事)の受注工事額は、前年度比16.1%減となる9兆7509億円となった。発注者別にみると、受注工事額が多かったのは、不動産業3兆6197億円やサービス業1兆9257億円、製造業1兆9020億円。工事種類別で、受注工事額が高かったのは、住宅2兆4705億円や工場・発電所1兆6055億円、事務所1兆5477億円だった。
また、民間会社が発注した土木工事や機械装置など工事の受注工事額は6兆9746億円で、前年度比7.9%ダウンした。発注者別だと、受注工事額が多かったのは、電気・ガス・熱供給・水道業1兆8802億円や製造業1兆8753億円、運輸業・郵便業1兆4757億円となった。工事種類別で、受注工事額が高いのは機械装置など工事2兆7099億円や鉄道工事1兆2241億円、発電用土木工事1兆31億円。
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