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冬期トンネル工事の吹付けコンクリートで独自温度管理手法:山岳トンネル工事
戸田建設と名岐エンジニアリングは、冬期の山岳トンネル工事において、吹付けコンクリートの独自の温度管理手法を適用した。吹付けコンクリートを適切な温度に保つことで、コンクリートの急結剤の添加量を抑制。これにより品質確保とコスト削減が可能になるという。
戸田建設と名岐エンジニアリングは2020年3月に戸田建設施工の「北海道新幹線、立岩トンネル(他)」工事において、吹付けコンクリートの独自の温度管理手法を適用し、品質確保とコスト削減を実現したと発表した。
本手法は、コンクリートの製造過程に独自の加温装置と温度管理手法を用いる点に特長がある。練混ぜ水などのコンクリートに使用する材料やコンクリート製造に用いる機器を所要の温度まで加温することで、コンクリート温度を品質確保に適切とされる20℃程度に保てるようになった(図1)。
その結果、寒冷地においても、急結剤を大量添加することなく吹付けコンクリートの初期強度を確保することが可能となった(図2)。コストも従来の手法より2割程度削減できたという。
山岳トンネル工事では、吹付けコンクリートを現地で製造するため、現場が寒冷地にある場合、材料や練上り時のコンクリート温度が低くなり、初期強度が低下してしまう。そのため従来は、コンクリートの凝結および初期強度を増進させる急結剤を大量に添加していたが、長期強度発現への影響やコスト増大が新たな課題となっていた。
今後について同社は、本手法を他のトンネル工事に展開し、寒冷地においても品質の高いコンクリートを提供していくとしている。
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