NEXCO中日本がラバーポールを活用して渋滞を緩和し、損失時間を3割削減:産業動向
NEXCO中日本 名古屋支社は、ラバーポール区間を延伸することで、名神高速道路上り線の一宮ジャンクション付近で発生していた渋滞を緩和した。今回の取り組みは、他の車線でも将来的に導入することを見据えている。
NEXCO中日本 名古屋支社はこのほど、名神高速道路上り線(東京方面)で、渋滞時の交通の流れを改善するために2019年11月29日から運用を開始している「ファスナー合流」の効果を発表した。
ファスナー合流とは、それぞれ異なる車線を走行する複数の車両が1台ずつ交互に1つの車線に合流することを指す。
ラバーポール区間は100メートルから360メートルに延伸
名神高速道路上り線の一宮ジャンクション(JCT)付近では、東海北陸自動車道(東海北陸道)から合流する車両が、加速車線のさまざまなポイントから名神高速道路に入るため、名神高速道路と東海北陸道の交通状況が悪くなり、渋滞が発生していた。
同社は、東海北陸道から名神高速道路上り線に合流する箇所に設置するラバーポールを加速車線の先頭方向まで延伸することで、ファスナー合流を促し、交通の流れをスムーズにした。ラバーポール区間は100メートルから360メートルに伸ばし、合流部は350メートルから210メートルに縮めた。
運用開始から2カ月間の交通状況を前年の同時期と比較した結果、7〜19時の12時間に通過した交通量はほぼ横ばいであったが、名神高速道路と東海北陸道を合わせた渋滞による損失時間は約3割減少した。また、各インターチェンジ(IC)における16〜20時の平均通過時間は、名神高速道路では約13分から約10分に短縮したが、東海北陸道では変化は無かった。
今後、NEXCO中日本 名古屋支社は、引き続き一宮JCT付近の交通状況を注視するとともに、渋滞対策の効果検証を踏まえ、今回の取り組みをICやサービスエリアなどから高速道路本線に合流する地点で、交通の流れが渋滞の発生や悪化の要因となっている車線にも取り入れることを検討している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “笹子トンネル事故を繰り返さない”NEXCOの再発防止策や東芝インフラシステムの新路面点検システム
中日本高速道路(NEXCO中日本)は、2012年12月2日に発生した笹子トンネル天井板落下事故を受け、体制や従業員の育成方法について刷新した。一方、東芝インフラシステムズは路面状況や橋梁床版の内部を見える化するシステムの開発を進めている。 - NEXCO中日本、“横360度・縦90度”自在に動くカメラで橋梁桁接合部などの死角点検が可能なドローン
NEXCO中日本は「ジャパン・ドローン2019」で、特許出願中の構造物点検調査ヘリシステム「SCIMUS-03」の実機を展示し、新たなインフラ構造物の点検方法を示した。 - NEXCO中日本、高速橋梁などの点検で無線と有線のドローン導入
NEXCO中日本は、これまで人の目視点検では危険性があったり、物理的に不可能だったりした高道路の橋梁下面などの点検方法として、無線と有線のドローンを導入した点検方法を提案している。無線は可動範囲の自由度が高く、有線は通信環境が悪い場所でのインフラ点検にそれぞれ対応する。 - 山岳トンネル工事の出来形検査をタブレットで遠隔立会が可能に、NEXCO西日本の工事に試験適用
清水建設は、山岳トンネル工事における検査・管理業務の合理化を目指し、タブレット端末を用いて現場を撮影し、検査員が事務所PCで確認できる「リアルタイム遠隔立会システム」を開発した。