三谷産業がコミュニケーションシステム「SynQ」の効果を検証、移動時間の短縮が判明:製品動向
クアンドはスマートフォンのアプリやPCからのWebブラウザを介して使えるコミュニケーションシステム「SynQ」の開発を進めている。
クアンドが、三谷産業と共同で、建設業の業務効率化と人材不足の解決に向けてクアンド製コミュニケーションツール「SynQ」の実証実験を行ったことが明らかになった。
ARチャット機能で遠隔地からの指示や確認が容易に
空調や給排水衛生設備の設計、施工管理を行う三谷産業は、SynQが施工管理業務で発生するコミュニケーションを大幅に効率化する可能性があると判断し、2019年12月から実現場で試験的に導入を開始した。
約2カ月間の実証実験を通して、主に現場事務所と施工現場のコミュニケーションで要する時間を大幅に縮められることが判明した。
従来、現場にいる若手担当者が、現場事務所にいるベテランに質問や確認する際には、ベテランが事務所から現場まで足を運び、往復で約20分かかっていたが、SynQにより現場まで駆け付ける時間が不要となった。
また、SynQのARチャット機能によって、正確な状況把握と明瞭な指示が可能になった上、さまざまなやりとりをグループチャット機能で関係者全員に共有することが容易になり、コミュニケーションの効率を改善した。さらに、現場で生じた疑問の相談や解消を行えるため、若手の担当者に安心して現場を任せられるという効果も得られた。
実験で特に役立ったSynQの機能は、ARチャット機能とグループチャット機能で、ARチャット機能は、スマートフォンなどによってリアルタイムで映像を共有しながら、AR(拡張現実)で映像の上にポインタを表示させて指示が行える。現場に赴くことなく遠隔地から確認や指示ができるため、現場管理者の移動時間を減らせる他、体力的な問題から現場に赴けない高齢のベテラン人材が確認や指示がしやすくなる。
グループチャット機能は、グループチャットの形式で一度にステークホルダーと情報供給が進められる上、会話の内容を自動でテキスト化して履歴として残せる。
今後、クアンドは2020年4月にSynQのβ版をリリースし、2020年夏に正式版をリリースする予定だ。
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