【第3回】日本のBIM先駆者が定義する「BIMはチェンジマネジメントである」:BIMで建設業界に革命を!10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ(3)(4/4 ページ)
本連載は、2020年度に全物件で“設計BIM化”の大望を抱く大和ハウス工業で、日本のBIM開拓の一翼を担ってきた同社技術本部 建設デジタル推進部 次長・伊藤久晴氏が、BIMを真に有効活用するための道標を示す。第3回は、2013年頃のBIMに対する取り組みを紹介しながら、業務を完全にBIMに移行するためのDigital patchまでの道筋を示す。
自ら意識を変え改革に乗り出すことがBIMの真価を引き出す
建設業界は、いまだに印刷された「紙」で仕事をする古い体質が常態化しているため、さまざまな問題を抱えている。また、作る建物はほとんど一品生産で、多くの建材と多くの職人が携わる複雑な仕事だという理屈で、業務のデジタル化を受け入れない考えも多数派だ。建設に携わる多くの人が、このままの仕事が永遠に続くはずはないと思っていながら、変わることができずジレンマに陥っているのが現実であろう。しかし、自ら意識を変え改革に乗り出すことこそが、BIMの真価を引き出すための唯一無二の方法であると確信する。
当社は、2017年にBIM推進室が立ち上がってから、トップダウンで設計部門でのBIM移行を進め、環境構築や人材育成に着手し、2020年度中に、全物件の設計BIM移行を目標に据えているので、現時点で、設計部門でのチェンジマネジメントは着実に前進している。
BIMへの完全移行が新しい道を拓く
BIMの本来の目的は、BIMの技術を極めることではなく、BIMを活用することで、生産性を向上させることにある。そのためには、社員の誰かかが使えればよいのではなく、作業にかかわる担当者、派遣社員、協力業者など、関係者全員が変わらなければならい。そうしなければ、いつまでたっても「紙」に印刷された図面で作業をするという状況から抜け出すことはできない。
関係者全員が変わるということは、容易なことではない。Revitを使って実務で効率的に活用できる仕組みを作り、ワークフローを整えるとともに、ファミリ(部品)などの整備をしなければならない。さらにそれを社員全体が使えるように、教育も徹底的に行う必要がある。そして完全に業務のBIM移行を果たすことで、BIMモデル活用の道は拓けてくるだろう。
連載第3回では、2013年頃の当社のBIMに対する取り組みを紹介し、その時のBIMコンサルの結果から、現在に至る過程を示した。今後は、過去の工事での事例や2017年から始まった会社全体でのBIM移行について解説してゆく。
★連載バックナンバー:
『BIMで建設業界に革命を!〜10兆円企業を目指す大和ハウス工業のメソッドに学ぶ』
■第1回:日本のBIM先駆者が警鐘を鳴らす「なぜ日本のBIMはダメなのか?」
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