“10兆円企業”を目指す大和ハウス工業が成長基盤と位置付けるBIMへの取り組み:Autodesk University Japan 2018(1/5 ページ)
大和ハウス工業は、大成建設のBIM(Building Information Modeling)アプリケーション「T-REX」をカスタマイズし、自社の既存テンプレートから全面移行した。これにより、意匠・構造・設備がAutodesk Revitで連携する一気通貫の体制を整えることに成功している。最近の成果として、日本ERIの協力のもと、Revitで作成したBIMモデルによる建築確認申請を実現したという。
オートデスクが開催した「Autodesk University Japan 2018」(グランドニッコー東京 台場)のアジェンダの中から、本稿では、Revitにより意匠・構造・設備から確認申請まで完了させる“一気通貫の連携”をキーワードとする「BIMによる設計革命・生産性向上を実現する大成―BIM規格と大和ハウスの実践活用」のセッションをレポートする。登壇者は、大成建設 設計本部 設計品質技術部 BIMソリューション室長の高取昭浩氏、大和ハウス工業 技術本部 BIM推進部 BIM標準推進グループ長の伊藤久晴氏。
大成建設の「T-REX」を大和ハウス工業にカスタマイズ提供
高取 2017年10月ごろ、当社のBIMアプリケーション「T-REX(TAISEI Revit Extension)」を大和ハウス工業にカスタマイズして提供する話が持ち上がった。大和ハウス工業では“図面=モデル”を前提に、意匠・構造・設備の部門が一気通貫で連携可能な体制を構築している。
そもそもBIM規格のコンセプトとは、Revitにより設計情報の伝達の効率化・高度化を図り、利益につなげていくことにある。BIMは設計・施工のプロセスを変え、ひいては会社の根幹を変えていくほどの威力のあるデータベースと認識している。
現在の建築業界は、いまだ図面という2次元の情報で共有化を図っている。建築の情報伝達は、手書きから「AutoCAD」に移行するのに約15年を要した。では、Revitに移るのも15年かかるのか。これまでを“線と文字”の時代とすれば、Revitは“モデルとプロパティ”の時代と言え、大きく情報の在り方そのものが変わる「革命」になる。Revitを戦略的に捉えることなく、図面が奇麗であれば使ってもいいなどと言っていたら、10年・20年先になってもBIMへの移行は成し遂げられないであろう。
高取 例えば、機械業界はモデルという概念が一歩進んで浸透しているが、その理由は図面作成の効率化にある。従来の手作業では1週間を要していたものが、ほぼ自動で半日のうちに完成する。そのまま製造に落とし込める1/1のモデリングが可能な点も後押ししたはずだ。1/1モデルは建築ではあり得ないとはいえ、分厚い図面ではなくモデルで情報共有を図ることで、大幅な作業効率化が図られている機械業界に一歩でも近づきたい。
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