新型コロナが建設業の採用活動に与える影響を緊急調査、人材確保の好機とみる中小も:産業動向
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、全業種で「3密(密閉・密集・密接)」を避ける取り組みが進む中、アーキベースの調査により、テレビ会議システムなどを用いて、多くの会社が採用活動を行っていることが明らかになった。
建設と設備の技術者に特化した転職支援・マッチングサービス「建職バンク」を運営するアーキベースは、取引先企業の人事や採用担当者を対象に新型コロナウイルス感染拡大による採用活動への影響についてアンケート調査(2020年4月10〜16日)を行い、203社から回答を得て、結果を公表した。なお、調査にはメールによるアンケートや電話でのヒアリングを用いた。
採用を完全に停止している企業は17%
「新型コロナウイルス感染拡大に伴う採用方針の変更」についての質問では、全体のうち55.17%が「採用活動を継続している」と回答(Web面接への切り替えなども含む)した。また、16.26%が「書類選考のみを継続している」、5.91%が「面接途中までのみ継続している」と回答するなど、何らかの形で「採用活動を継続している」企業が82.76%を占めた。
採用活動を完全に停止している企業は約17%にとどまり、新型コロナウイルス対策として、Web面接の活用が進んでいる状況も確かめられた。大手企業の採用活動延期と休止を受けて、有望な人材を採用する好機と捉える中小企業も存在した。
調査した会社からは、「対面での面接を継続しているが、Web面接の導入を進めている」「原則として対面で面接を実施したいため、5月6日までは採用活動を完全に停止する」「社員がリモートワークや時短勤務になっているため、採用活動を実施することができない」「大手企業を中心に採用活動の延期や停止が見られるため、中小企業である自社としては、有望な人材を採用する好機と捉えている」といった声が寄せられている。
半数以上の企業がWeb面接などを活用しながら採用活動を継続していることに加え、「書類審査のみを継続する」「途中までの面接はオンラインで実施し、最終面接のみ、緊急事態宣言が解除された後に対面で行う」といった形で採用活動を継続する企業もあった。緊急事態宣言や自粛要請が解除されたタイミングで、途中まで進んでいた選考が一斉に進行し始めると想定される。
結果として、緊急事態宣言解除後に転職活動や採用活動を再開した場合、転職希望者にとっては、緊急事態宣言中に選考が進んでいた他の求職者が採用されて枠が埋まってしまう。募集企業にとっては、採用活動を継続していた企業に、有望な人材を先に採用されてしまうといった事態が発生する可能性がある。
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