博多エリアで屈指の貸室面積オフィスビル着工、BIMや溶接ロボなど次世代の建築生産を試行:プロジェクト
鹿島と、福岡酸素が共同で開発を進める「(仮称)博多駅前4丁目ビル」のプロジェクトが、2021年6月の完成を目指し本格始動した。
鹿島建設と福岡酸素が、JR「博多」駅から徒歩9分の立地で、博多エリア屈指のフロアプレートとなる9階建てオフィスビルの新築工事が2020年3月1日に着工した。企画と設計・施工は鹿島建設が担当し、ビルの規模は地上9階建て、総賃貸面積約4650坪となる見通し。
「鹿島スマート生産ビジョン」を試行する場に
(仮称)博多駅前4丁目ビルの建築現場では、2018年11月に鹿島建設が発表した建築工事に関するあらゆる生産プロセスの変革を推進し、生産性の向上を目指す「鹿島スマート生産ビジョン」を適用する場と位置付けられている。具体的にはBIM(Building Information Modeling)を用いた鉄骨製作図の3次元化をはじめ、ICTを活用した現場管理、鉄骨溶接の施工ロボットなど、次世代の建築生産を見据えた多様な新技術を導入する。
建築計画では、オフィスビルの基準階は約1870平方メートル(約566坪)と博多エリアで有数の貸室面積を誇り、天井高2.9メートル、奥行き約20メートルの無柱空間を実現する。共用部には、男女の個室数を変更できるトイレプラン、利用者の行き先階に応じてエレベーターの運行を自動制御するシステムなどを採り入れ、ビル利用者の混雑緩和を図る。
ファサードデザインは、敷地の特性に沿って東西南北の各面で開口サイズを変化させながら、建物全周に設置した深い庇(ひさし)が、建物全体に統一感を与える意匠とする。さらに、執務室への日射を効果的に遮蔽(しゃへい)するため、環境負荷の低減にもつなげる。
緑空間の創出では、敷地の外周部に公開空地を設け、敷地東西の2つの街区公園の緑を連続させ、建物の圧迫感を軽減する「グリーンプロムナード」を整備する他、憩いの場となる「ポケットパーク」も配置する。
構造計画やBCP対策では、建物の構造に、鹿島の保有技術「ハニカムダンパ」を鉄骨に組み込んだ“付加制震”を採用。また、電力は2つの系統から供給を受けて冗長性を確保する。その他、連続72時間まで稼働する非常用発電機の屋上への設置や非常時の利用を想定した受水槽や排水槽の容量確保など、BCP対策も考慮している。
(仮称)博多駅前4丁目ビルの計画地は、福岡市博多区博多駅前四丁目292番1他で、敷地面積は3610.99平方メートル。ビルの構造と規模は、地上9階建てS造(一部CFT造)、延べ床面積2万1449.28平方メートル。竣工は2021年6月の予定。
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