インバウンドに伴う店舗とホテルの高い需要などを背景に、全国的に地価は上昇傾向:産業動向
国土交通省は、地価動向の調査を目的とした2019年第2四半期の地価LOOKレポートを公表し、全国の大半で緩やかに、地価が上昇していることを浮き彫りになった。
国土交通省は2019年8月23日、同年第2四半期の地価LOOKレポートの結果を発表した。このレポートは、主要都市の高度利用地などで、2019年4月1日〜7月1日の地価動向を調査したもの。
リサーチ対象は、東京圏43、大阪圏25、名古屋圏9、地方圏23の計100地区。今回の調査では、主要都市の地価は全体的に緩やかな上昇基調で、2019年第1四半期に引き続き、97地区で増加傾向であることが明らかになった。
地価上昇地区数の割合は6期連続で9割を上回る
地価上昇地区数の割合は6期連続で9割を上回り、0〜3%に徐々に上昇した地区が69地区で最多となった。
地価上昇の主な背景には、景気回復、雇用・所得環境の改善、低金利環境の下で、空室率の低下や賃料の上昇などの堅調なオフィス市況、再開発事業の進展による魅力的な空間・賑わいの創出、訪日外国人の増加に伴う旺盛な店舗とホテルの需要、利便性の高い地域での堅実なマンションのニーズといった要因で、不動産投資が継続して安定していることがあった。
大阪市の商業系地区である西梅田、茶屋町、新大阪で地価上昇幅が前期の3〜6%から6%以上に拡大した。一方、神奈川県横浜駅西口地区は、地価上昇幅が3〜6%から0〜3%に縮小した。
地価が3〜6%と比較的高い上昇を示した地区として、北海道札幌市の宮の森、駅前通、宮城県仙台市の錦町、中央1丁目、千葉市の千葉駅前、東京都の歌舞伎町、渋谷、愛知県名古屋市の太閤口、伏見、久屋大通駅周辺、金山、京都市の京都駅周辺、河原町、烏丸、大阪府の中之島西、北浜、心斎橋、なんば、福島、天王寺、江坂、兵庫県神戸市の三宮駅前、福岡市の博多駅周辺、熊本市の下通周辺、那覇市の沖縄県庁前が名を連ねた。
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