丹青社が仏エコバディスのCSR審査で、5.5万社のうち上位16%の「シルバー」評価:業界動向
丹青社は、環境的かつ社会的パフォーマンスの企業評価を行っているフランスの機関「EcoVadis」のCSR(社会的責任)評価で、上位25%の企業に与えられる「シルバー」評価を取得した。
ディスプレイ業大手の丹青社は2020年3月、フランスのサステナビリティ・サプライチェーン評価機関「EcoVadis(エコバディス)」の2019年サステナビリティ(持続可能性)審査で、対象約5万5000社のうち上位25%に与えられる「シルバー」評価を取得したことを公表した。
全世界・全業種の約5万5000社の中で、上位16%の評価
EcoVadisは、「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な調達」の4テーマから第三者視点で包括的な企業の社会的責任(CSR)の審査を行っている。評価制度では、総合得点と4テーマのスコアに基づき、上位1%を占める「プラチナ」、上位5%の「ゴールド」、上位25%の「シルバー」、上位50%の「ブロンズ」、「評価なし」の5段階で格付けしている。
今回、丹青社は、EcoVadisの審査を受けた全世界・全業種の約5万5000社の中で、上位16%と位置付けられ、「シルバー」の認定を受けた。
丹青社のCSRに対する方針としては、2019年2月に6つのマテリアリティー(重要課題)を設定した。6つのうち、空間創造を通じた文化の創造・継承への貢献では、国内で唯一、超電導リニアを間近で見学できる「山梨県立リニア見学センター」をはじめ、国内最大級の鉄道ジオラマを展示した「敦賀赤レンガ倉庫・ジオラマ館」などの施工実績を有する。
イノベーションの推進では、空間を唯一の“体験”のメディアと捉え、これまで培ってきた空間づくりの技術やノウハウに、ICTやVR、AR、インタラクティブ技術、映像・音響などの最新テクノロジーを組み合わせた“感動体験”を提供している。また、東京都港区で2018年5月に開設した「港南ラボ マークスリー[Mk_3]」を拠点に、さまざまな企業やクリエイターと協働し、先端コンテンツ技術を応用した空間演出の研究開発や実験も進めている。
3つ目の課題とする多様性への取り組みでは、社内の全社員を対象に多様性への理解を深める「ダイバーシティー研修」に加え、NPO法人ユニバーサルイベント協会が主催する「ユニバーサルキャンプin八丈島」への協力で、心のバリアフリーに対する意識啓発などに取り組む企業として、2018年度の東京都「心のバリアフリー」サポート企業にも登録されている。
さらにサプライチェーンマネジメントの推進では、安全衛生委員会や産業廃棄物対策委員会の開催、協力会社と組織する「青和会」での安全対策や品質向上に関する活動を展開している。
自然環境に対する保全では、ホルムアルデヒドを含まないF☆☆☆☆認定の材料や自然素材の使用の他、再生材料の積極的な活用、規格寸法に留意した設計、車椅子対応席の設置や子ども視点のグラフィック表示といったユニバーサルデザインへの留意などが挙げられる。一方で施工現場でも、独自の手順書に実施項目を定め、物件ごとに産業廃棄物の発生を抑制する管理計画を立案。施工後には、実施内容、その効果、廃棄物の種類と発生量、法規制の順守状況などを記録し、施工計画へフィードバックすることで、産業廃棄物の管理や継続的な改善を図っている。
6つ目のコーポレートガバナンスでは、投資家との対話、知的財産権保護のための方策、コンプライアンス研修など、企業理念ならびに経営ビジョンを通じて社会に貢献し、経営環境の変化とともに最良のコーポレートガバナンスを実現することを目指している。
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