錢高組がパイプクーリングの新リアルタイム制御システムを現場適用:新工法
錢高組はマスコンクリートのひび割れを抑制する工法「パイプクーリング」をリアルタイムに制御する新システムを開発した。
錢高組は2020年3月、ソーキの無線式温度監視システム「キュアテンフォメーション」を活用し、マスコンクリートの温度応力解析結果(温度履歴)に沿って、ひび割れを抑えられるパイプクーリングのリアルタイム制御システムを構築し、現場適用したと公表した。
前解析データとリアルタイムに対比
パイプクーリングは、マスコンクリートのひび割れを抑止する工法として業界で利用されているが、適正な運転管理には多くの手間がかかるといった問題があった。こういった課題を解消したのが新制御システムだ。
新制御システムは、あらかじめ実施した温度応力解析により、コンクリート温度履歴の管理幅を設定し、その幅を超えないようにクーリング水の水温と流量をリアルタイムで遠隔制御する。コンクリート温度やクーリング水温、流量などの計測データは、920MHz(メガヘルツ)無線やWi-Fiを使い、PCやタブレットといった端末に送信し、事前解析データとリアルタイムに対比させる。
コンクリート温度が管理幅を超えた場合やシステム故障、停電が発生した場合には担当者と関係者にメールで異常を伝える。制御システムを導入することで、パイプクーリングの適正な運転管理が進められるとともに、省力化や不具合と異常発生時に素早い対応が容易になる。
国土交通省 東北地方整備局が発注した東北中央自動車道阿武隈川橋上部工工事で、主桁柱頭部のマスコンクリートに適用され、新制御システムの効力が確認された。パイプクーリングの運転管理を省力化するとともに、目視によるひび割れ調査の結果、有害なひび割れは認められず十分なひび割れ抑制効果が明らかになった。今後はクーリング水の水温や流量調整に関するブラッシュアップを実施し、ボックスカルバートやケーソンなどの工事にも活用していくとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
コンクリのひび割れ対策で合成樹脂製管を採用した新工法、作業時間を7割減
鉄骨柱の溶接でロボット用の新工法、継ぎ目を削減
竹中工務店は、溶接ロボットに特化した新工法を開発した。人の作業をロボットが代替することで、熟練溶接技能者の高齢化や減少に対応することが可能になる。「3倍速い」大林組の床版取り替え新工法、交通規制の期間短縮が実現
大林組は、プレキャスト床版を用いて、従来よりも3倍速くコンクリート橋の床版を取り替える「キャップスラブ」工法を開発し、中央自動車道のリニューアル工事に適用した。鹿島建設、都市部のアンダーパス工事に適用できる非開削工法を開発
鹿島建設は、都市部のアンダーパス工事に適用できる新たな非開削(ひかいさく)工法『スーパーリングK-UP工法』を開発した。従来に比べて約40%の工期短縮が可能となり、コスト低減も期待できるという。