鉄骨柱の溶接でロボット用の新工法、継ぎ目を削減:ロボット
竹中工務店は、溶接ロボットに特化した新工法を開発した。人の作業をロボットが代替することで、熟練溶接技能者の高齢化や減少に対応することが可能になる。
竹中工務店は、高層建物における鉄骨柱の溶接で、ロボットの作業を容易にする新溶接工法を開発した。
継ぎ目処理の作業負担が軽減
従来、ロボットを用いた鉄骨柱(角形断面)の溶接は、柱の4つの面をロボットが一面ずつ直線的に作業していたが、柱の角はロボットによる溶接が取り合うという問題点があった。そのため、角の部分に関しては、熟練溶接技能者が柱と柱の継ぎ目の状態を確認しながら、溶接を行っていた。
新工法は、溶接する柱の角に仕切り部分を設け、各ロボットの作業範囲を明確にすることで、柱の角も含めロボットによる溶接を可能にする。これまで人が行っていた溶接作業をロボットが代替することで、人にかかる負担の軽減、熟練溶接技能者の高齢化や減少への対応、建物の安定した品質確保が実現する。また、骨製作工場での部材接合部の加工は、今までの延長で対応することができるという。
開発の背景について、竹中工務店では、建設現場におけるロボット活用は、人の作業をそのままロボットに置き換えるのみで、部材接合や施工方法などは従来のままというケースが多いと指摘する。そのため、これまでの施工方法では、人が作業する前提のため、ロボットにとっては合理的とはいえない。
竹中工務店は2019年4月以来、東京都内の建設現場において、異なる形状の柱や梁(コラム形状柱および大梁フランジ)に可搬型の溶接ロボットを適用し、安定した溶接品質の確保、熟練溶接技能者の代替となり得ることを検証してきた。
今後は新工法の適用範囲を拡大し、全店でのロボット普及・展開を推進していくとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- バスケットコート4面分を自動清掃するロボット、竹中ら4社がレンタル開始
竹中工務店とカナモト、豊和工業、朝日機材の4社は、自動的に床を清掃する吸引型ロボット「AXキュイーン」を共同開発した。工事現場や閉店後の店舗、社員が退社した後のオフィスなどへの導入を想定して、2019年5月27日からレンタルを開始する。 - 100m2を4時間で自動墨出しをするロボット、試験導入で3割の生産性向上
竹中工務店は、自走式の墨出しロボットを建設現場に試験導入し、従来比で約3倍の生産性向上を達成した。今後、他社とのオープンイノベーションを通じ、墨出しロボットの製品化を目指す。 - 工事現場にお掃除ロボ、清掃の手間を半減
竹中工務店は工事現場の床上を自動で清掃するロボットを開発した。作業所や工場などの作業員の負担軽減に活用できるという。2017年10月をめどに販売を開始する予定だ。 - 施工ロボ・遠隔管理・BIMを柱にした「鹿島の生産性向上ビジョン」、“18のICT技術”を新築ビル工事で実証
鹿島建設は、建築工事に関わるあらゆる生産プロセスの変革を推進して生産性の向上を目指す「鹿島スマート生産ビジョン」を策定した。第一段階として、名古屋市中区錦二丁目の自社ビル新築工事で、施工ロボットや巡回するドローン、作業者の負担を軽減するアシストスーツの他、BIMを基軸に出来形検査やAR/VR技術など、18項目もの新技術の集中実証を行う。 - 「淺間山噴火」でも導入、建機の機種を問わない遠隔操作の人型ロボ「KanaRobo」
建機に搭載して遠隔操作が可能になるカナモトの双腕双脚ロボット「KanaRobo」は、災害時の危険エリアでの復旧作業以外に、平常時の工事現場でも適用することで、省人化や省力化につながることが期待されている。