荷揚げ作業の生産性35%アップ、安藤ハザマが開発した自昇降式の運搬装置:新工法
安藤ハザマは、建築現場で下の階から2フロア上の階まで資材を運ぶ自昇降式の搬送装置を開発した。新装置の採用により、これまで3人必要だった型枠支保工の荷揚げが2人で済むようになる。
安藤ハザマと光洋機械産業は、コンクリートの型枠支保工などを仮設床の開口部から効率的に上階へ荷揚げする「自昇降式垂直搬送装置」を開発した。
型枠支保工の荷揚げ作業が2人で完了
新装置は、既製品のアルミ昇降式作業台をベースに改造した自昇降式の垂直搬送装置で、仮設床開口部などに設置して使用する。本体重量は200キロ程度で、専用車輪を取り付けているため、作業員1人で容易に移動させられ、一般的なRC造建築物の2フロア分程度、約7.5メートルの高さまでの荷揚げに応じる。
装置を設置する床の開口部には、仮設手すりと専用の開口蓋を整備することで、転落や飛来落下の防止対策を講じている。また、装置の支柱は、開口蓋と壁繋ぎを介して固定することで転倒を防ぐ。
また、資材を上階に揚げるだけでなく、仮設手すりを利用して装置自体を上げることや逆の手順で装置自体を下階に降ろすこともできる。
開発理由について、安藤ハザマは、建設現場の生産性向上による省人化・効率化が求められていることを踏まえ、特殊な専門技術を要しない資材運搬作業のうち、肉体的に負担の大きい「型枠支保工」の垂直移動に着目したとコメントしている。
新装置を採用することで、通常は3人必要な型枠支保工の荷揚げ作業が2人で行えるようになり、作業員1人が単位時間あたりに荷揚げする資材の量も最大35%向上し、生産性向上に寄与する。同時に、床開口部での上下作業が削減されるため、作業員の安全確保と、肉体的な疲労の大幅減につながる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 安藤ハザマが新しい壁つなぎを開発、全面外部足場と比べ組み立て作業で4割生産性を向上
安藤ハザマは、現場で使用する足場に関連する業務の効率化を推進している。2019年12月19日、タカミヤとともに外壁断熱パネルの施工で、効率的に作業を進められる移動昇降式足場用の壁つなぎを共同開発したことを発表した。作業時間の短縮や省人化に貢献する技術として、業界で関心を集めている。 - 横河システム建築、サッカー場の天然芝ピッチ昇降システム開発
横河システム建築は、多機能複合型スタジアムとして利用できる「競技場天然芝ピッチ昇降システム」を開発した。既存のサッカースタジアムなどに低コストで導入でき、サッカー以外の多様なイベントにも対応可能となる。 - 大林組が耐火被覆吹付けロボットを開発、BIMモデルで作業指示し長時間施工も自動化
大林組は、吹付け作業を自動で行う耐火被覆吹付けロボットを開発し、2020年度に建築現場への適用を目指す。従来工法では、吹付け・コテ押さえ・材料投入のそれぞれの建設技能者3人を1班として作業を行っていたが、ロボットを導入することで、吹付けを担当する建設技能者1人を削減でき、省人化につながる。 - 日本ビソーが橋梁下100mを点検可能なゴンドラ車を開発
日本ビソーは、橋梁(きょうりょう)点検車にゴンドラを搭載した「ゴンドラ車」の新車両「GC-240L」を開発した。新型車は、車体設置面から最大100メートルまで降下することができ、高さのある橋脚に沿って点検が安全に行えるようになる。 - 過積載を防ぐ、計量装置を搭載した「スケールダンプ」2019年夏に発売