日本ビソーが橋梁下100mを点検可能なゴンドラ車を開発:維持検査・点検
日本ビソーは、橋梁(きょうりょう)点検車にゴンドラを搭載した「ゴンドラ車」の新車両「GC-240L」を開発した。新型車は、車体設置面から最大100メートルまで降下することができ、高さのある橋脚に沿って点検が安全に行えるようになる。
日本ビソーは、橋梁(きょうりょう)点検車にゴンドラを搭載した「ゴンドラ車」の新車両「GC-240L」を開発し、2019年4月22日からレンタルサービスを開始した。
ゴンドラ車は橋梁点検車とゴンドラの1台2役を担う
ゴンドラ車とは、ゴンドラ構造規格に適合するように橋梁点検車の先端ブーム部を改造し、専用ゴンドラとして製作した特殊車両。橋梁を点検する専用車のブームを吊元にして、点検作業員が搭乗する昇降が可能なゴンドラを積載している。伸縮・旋回などを行うブーム部は、ゴンドラ昇降時には固定される仕様とするなど安全性を高める機構を採り入れ、橋梁点検車とゴンドラの1台2役を実現している。
これまで橋梁の点検やメンテナンスを行う場合は、高さのある橋脚や橋の下に河川が流れている場所、急斜面で基部から近づけないなど、近接目視による点検が困難なことが少なくなかった。
しかし、GC-240Lであれば、ゴンドラ装置でブームを最も降ろした状態で、橋梁上の車体設置面から下部100メートルまでのアクセスが可能となり、これまで橋梁点検車では届かない高橋脚面や河川部などの高所作業車が立ち入れなかった場所の点検も可能になる。
日本ビソーではこれまでに、ゴンドラメーカーとしてのノウハウを生かし、2017年に車体設置面から約56メートルまで降下する中型車をベースにした「GC-200」、2018年には約65メートルまで降下可能で大型車「GC-240」を順次市場に投入してきた。
今回、開発したGC-240Lは、大型車をベースにし、より多くの橋脚に対応する目的で、車体設置面から最大100メートルまでの降下を可能にする製品設計とした。特殊車両の仕様は、最大降下距離以外はGC-240と同等のスペックを有する。4本のブームによる高度なアクセス機能を保持し、高さのある橋脚はもちろん、低い橋脚や桁下にも安全に近づける。
動作は、まず伸縮式の第1ブーム(長さ6.0〜7.9メートル)で橋端部のフェンスを乗り越え、第2ブームから第4ブームを使用して、安全に点検・補修箇所へ移動。吊元部のゴンドラは、作業面に合わせ、手動操作で左右に各70度、合計140度を旋回させることができる。
作業者が搭乗するデッキ部には、ゴンドラ専用の昇降機であるビソマック206ワインダーを2機搭載。昇降機は、電源ケーブルが不要なデッキ内に備えたバッテリーで駆動し、フル充電時で50メートルの揚程を6往復以上行える。昇降速度は、およそ毎分7メートルで、低騒音かつ低振動の安定した動き。
ブームの操作は、旋回台部に加え、デッキ吊り込み後にはデッキ吊元部からもコントロールすることができる。なお、ゴンドラの昇降は、専用の操作盤で行う。
安全装置は、吊元上限位置で停止する上限リミットスイッチ、下限位置で停止する下限センサー、急激な下降を防止する過速検出式ワイヤロープつかみ装置、ゴンドラの下降を自動停止させる障害物検知センサーを装備している。
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