CIMデータを活用して「盛土施工」を一元管理、三井住友建設
三井住友建設は、CIMデータを活用し、盛土施工を一元管理するシステムを開発した。北海道の現場で導入し、省力化や生産性向上の効果が実証されている。
三井住友建設は2018年6月15日、ICT(情報通信技術)建設機械の「盛土締固め管理システム」と、「法面(のりめん)締固め管理システム」による盛土施工データから、3次元モデルを自動作成し、同時に「盛土施工管理票」の施工管理データを付加して盛土のトレーサビリティーを一元管理するシステム「SMC-GeoCIM」を開発したことを明らかにした。
既に北海道で施工中の高速道路の現場で初適用し、省力化と生産性向上の効果が確認されている。
盛土の3次元データを色分けして可視化
SMC-GeoCIMは、伊藤忠テクノソリューションズの「C-土工」をカスタマイズしたシステム。振動ローラやバックホウといったICT建設機械の施工データを蓄積して、3次元グラフィックス(3DCG)で盛土の施工状況が立体的に把握できるサーフェスモデルを随時作成する。このサーフェスモデルに、盛土施工管理票の材料試験や品質管理などのデータをひもづけて登録することで、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)データによる盛土工事の一元的な管理が実現する。
3次元データは色分けされて表示されるため、盛土や法面全体の施工状況は一目で分かるように「可視化」される。システム上の管理画面では、色分けされた盛土部分をクリックすると、施工日時や盛土の材料情報、施工面積、標高など、選択した箇所の属性情報が表示される。これにより、盛土工事における任意箇所の情報検索と、トレーサビリティーが容易になる。
三井住友建設では今後は、盛土だけでなく、切土の施工管理情報を付加することで、切盛土工のトータル管理プラットフォームを目指していくとしている。
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