パナソニック LS社が東南アジアでハウジング事業を本格化、2030年度に売上450億円を目指す:パナソニックが考える「2020以降の街づくり」(4/5 ページ)
パナソニック ライフソリューションズ社は、東南アジアでハウジング事業を本格化している。現地における市場の成長度合いに合わせ製品を展開していくとともに、“工業化”“高齢化”“高機能化”をテーマにした商材でパートナー企業を開拓している。2030年度における海外売り上げ目標である1000億円のうち、450億円を東南アジア市場の売り上げが占める。
建設バリューチェーンの要所を支援
最後に、パナソニック ライフソリューションズ社 副社長 日本地域マーケティング担当マーケティング本部長の右近貞治氏が登壇し、ASEANにおける電材事業の強化プランについて話した。
まず、ASEAN地域の課題について、「著しく成長している一方、空気環境の悪化や高齢化の加速、自然災害、セキュリティ対策など、さまざまな問題を抱えている。パナソニック ライフソリューションズ社では、こういった問題を日本で培った技術やノウハウで解決し、ASEAN社会の発展に貢献したい」とコメントした。
電材事業の事例として新国立競技場におけるケースを挙げ、「グループをあげて、最先端設備をオリンピックとパラリンピックの競技場や周辺街区のビルなどに配置している。新国立競技場にはLED投光器を競技用1300基、観客用200基、大型映像装置(高さ9×幅32メートル)を1台、デジタルサイネージ「アクロサイン」を600枚、ラインアレイスピーカーを38基導入した。映像や音響、照明、空調など、さまざまなソリューションを組み込むことで、スポーツ観戦の在り方を変えるとともに、顧客に驚きと感動、安全安心な空間を提供する」と強調した。
ASEAN地域では、現在、配線器具やLED照明、太陽光発電パネル、換気・空調設備など、限られた電材製品を販売しているが、今後は日本市場の製品ラインアップを追加していく方針だ。
右近氏は、「電材事業部の強みである提案・設計から保守・メンテナンスまでサポート可能な体制を日本だけでなくASEANエリアでも整備し、建設バリューチェーン全体を各国で支援する」と示した。
具体的には、提案・設計では、VRによる空間再現や設備効果の可視化といったコンサルティングに取り組み、受注・納品では各ユーザーに適した製品をパッケージ化し空間ソリューションとして提供する。施工・メンテナンスでは、センシング技術を適用し、空間データを収集・分析することで、施設状況を改良していく。これらをリンクさせ、“循環型ソリューションビジネス”として伸展させるという。
最後に、右近氏は、パナソニック ライフソリューションズ社の海外エンジニアリングセンターについて、「ASEANに配置されたエンジニアリングセンターに駐在する日本人技術員と各国のローカルスタッフが連携し、作業効率向上といった成果をあげている。長期的な視点で、現地スタッフへの技術伝承も推進している。ノウハウを伝達していく中で、国籍問わずスタッフ同士のコミュニケーションが深まれば、電材事業が一層強化されていくと想定している」と締めくくった。
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