安全帯を正確に着用しているか、AIが自動で識別する新システム:電力・ガス新ビジネス EXPO 2020
コムシス情報システムは、通信建設業者向けに、作業員に墜落制止用器具(旧名称:安全帯)が問題なく着用されているかを確認する写真をAIで自動点検するシステムの開発を進めている。
コムシス情報システムは、「電力・ガス新ビジネス EXPO 2020」(会期:2020年1月29〜31日、東京ビッグサイト)に出展し、AIを用いた墜落制止用器具(旧名称:安全帯)装着点検システムを展示した。
写真検査員の負担を軽減
通信建設業者には、鉄塔などの高所作業時に、作業員に墜落制止用器具が着用されているかを確認するため、写真を撮影するルールがあり、その写真を検査員がチェックする業務がワークフローに組み込まれている。
だが、1日1000〜2000枚の写真を数人の検査員で、点検している会社も多く、全てを正確に調べるのは難しい状況だ。また、複数の現場から検査所に到着する写真を細かく精査するのは検査員の負担になっているという。
こういった問題を解消したのが、AIを使用した装墜落制止用器具着点検システムだ。新システムは、墜落制止用器具装着点検項目の基準に満たない写真を学習させたAIを利用する。このAIを使い、現場から送信されてきた写真を解析し、条件を満たしていない写真の場合は、不安要素をマーカーで囲み、検査員に届ける仕組みだ。
コムシス情報システムの担当者は、「新システムを導入することで、優先的に精察しなければならない写真が抽出しやすくなり、現場へ迅速に通達するとともに、検査員の負担を軽減できる。新システムは、2019年初旬からゼネコン数社の協力のもと、実証試験を進めている」と説明した。
会場では、この他、太陽光発電所ドローン自動点検サービス「AIJO Check Solar」を訴求した。AIJO Check Solarは2019年12月9日にリリースされたサービスで、太陽光発電所パネルの点検に関する報告書の製作を自動化する。
AIJO Check Solarの作業手順は、まず、コムシス情報システムが提携しているドローン業者か、あるいは、ユーザー自身で太陽光発電所パネルをドローンで撮影する。得られた画像をブラウザからコムシス情報システムのクラウドにアップロードし、AIにより高速で分析して、報告書を自動作成する。AIJO Check Solarは、報告書を作るコストを削減するだけでなく、高速化と高精度化を後押しする。
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