ショベルカー操作訓練アプリ 「重機でGo」のiOS版/VR版の配信開始、トライアロー:VR
トライアローは、本格的なショベルカー操作を訓練できるアプリ「重機でGo」のiOS版、VR版の配信を開始した。重機操作の職人的スキルの継承、人手不足が課題の重機オペレーターの確保・育成などが期待できる。
トライアローは2019年8月20日、油圧ショベルカーの本格的な操作訓練が可能なシミュレーションアプリ「重機でGo」のiOS版、VR版をリリースしたと発表した。土をすくう、ダンプ車に積み込むといった油圧ショベルの基本操作のほか、移動式クレーン運転士の実技試験の練習や労災防止に欠かせない危険予知活動のシミュレーションなどが可能だ。
2019年5月にリリースした本アプリのAndroid版は3,500ダウンロードを達成。今回のリリースにより、有料版3種と機能を制限した無料版3種の6バージョンがそろった。有料版の価格は100円、120円、2ドルと安価で、重機操作のシミュレーションを手軽に楽しむことができる。
iOS版では、7種の操作訓練と9種の事故回避トレーニングができる。スマホなどにインストールして使用するので、空き時間を使って手軽に重機操作や実技試験の課題練習ができるのがメリットだ。オールインワンVRヘッドセット「Oculus Go」を利用するVR版では、7種の操作訓練、9種の事故事例体験、3種の危険予知訓練ができる。操作画面に重機を実際に運転しているようなリアルな映像が流れ、レバーパターンもJIS方式とコマツ方式が選択できるので、実践的なシミュレーションが可能だ。
人材不足と高齢化が進む建設業界にとって、重機オペレーターの確保・育成、そしてベテランから新人へのスキルの継承は急務とされている。また重機が動く現場では作業員との接触などの重大事故のおそれがつきまとうため、合図・確認の徹底と誤操作を防ぐ危険予知能力の向上が欠かせない。しかし重機を適切に操作するには、地盤や重機に対するダメージや周囲の安全確認など多くの条件に目を配る職人的スキルが必要であるため、現場経験の浅いオペレーターを一人前に育成するには長い時間がかかる。
本アプリを操作している最中、ベテランオペレーターが後ろから操作画面をチェックし必要な助言をすれば、経験の浅いオペレーターを効果的に指導できる。これまで現場経験の量に左右されてきた職人的スキルの習得や危険予知能力の向上も容易になる。
本アプリの今後についてトライアローは、新しい事故事例を反映したトレーニングメニューの追加や、寒冷地用に除雪用重機の操作訓練ができるアプリの開発をしていきたいとしている。
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