JFEスチールの橋脚用H形鋼「ストライプH」、八ッ場ダム水門柱の主鉄筋に採用:新工法
八ッ場ダム堤体上の水門柱構築工事において、JFEスチールが開発した突起付H形鋼「ストライプH」が鉄筋コンクリート構造の主鉄筋の代替として適用された。ストライプHは主に橋脚用主鉄筋の代替として採用されてきたが、ダムの水門柱への適用は初採用となる。
JFEスチールは2019年12月4日、同社が開発した突起付H形鋼「ストライプH」が、八ッ場ダムの水門柱構築工事に採用されたことを明らかにした。
ストライプHは、仕上圧延時にH形鋼のフランジ外面に横ふし(線状)の突起を付けることで、通常のH形鋼よりもコンクリートとの高い付着性能を与えた商品。鉄筋コンクリート構造における主鉄筋に通常採用される異形棒鋼と比べると、コンクリートとの付着性能や耐震性能に優れる、1本当たりの断面積が大きいため使用部材数が減らせる、コンパクトな構造でも施工可能であるなどの利点がある。
八ッ場ダム堤体上の水門柱には、巨大地震に耐えられる性能は元より、水の流れを阻害しないコンパクトな構造が求められた。この点、従来の異形棒鋼を使用する鉄筋コンクリート構造の場合、コンパクト化と剛性確保を両立させるためには鉄筋の量を増やす必要がある。しかし剛性向上をねらって鉄筋量を増やすと、鉄筋の過密化が起こり、コンクリートの充填が不足する結果、施工品質の低下を招くおそれがあった。
そこで今回、従来橋脚用の主鉄筋として採用されてきたストライプHを、初めて橋脚以外の構造物に採用することとした。ストライプHを異形棒鋼の代替として主鉄筋に適用したことで、鉄筋の過密化を回避しつつ、十分な耐震性能と施工品質の向上を図ることができた。
JFEスチールでは、今後もストライプHなどの製品開発および改良を進め、巨大地震に備えた国土の防災や強靭化、国民の安全安心な暮らしの実現に貢献したいとしている。
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