災害に強いビル向けエアコンを開発、震度7でも稼働する堅牢性:耐震(2/2 ページ)
中小企業庁のデータによれば、国内の自然災害の発生件数は変動を伴いながら増加傾向にある。こういった状況を受け、ダイキン工業は、大地震や台風などにも耐えられるビル向け業務用新マルチエアコンを開発。また、店舗・オフィス向けには室内機の内部を洗浄する機能を備えた新エアコン「スカイエア」も製品化させた。
工事完成図書の作成工数を大幅に低減するアプリも展開
記者発表会で竹中氏は、「建設需要は増えていくが、建設業や設備のメンテナンスに従事する人材の人手不足は非常に深刻で、業界全体のボトルネックだと認識している。こういった問題を解決するため、従来、機器が事業の中心にあったが、関連するソリューションの開発など、ビジネスの領域を拡大している」とコメントした上で、VRVXシリーズとスカイエアの室内機で採用された「ドレン勾配フリー方式」やクラウド型空調設計支援アプリケーション「DK-BIM」「空調工事完成図書作成支援アプリ(仮称)」について解説した。
空調機から発生するドレン水をスムーズに排水させるためには、通常下り勾配(こうばい)での配管施工が必要となる。勾配が不足した場合、天井内での水漏れなど重大な被害につながる恐れがあり、室内機工事の中でも注意を要する工程だ。
ドレン勾配フリー方式はこういった障壁を打破する。別売り品のドレン勾配フリー接続キットを用いることで、施工に取り込め、室内機本体に内蔵したドレイポンプで、ドレン排水を圧送する手法のため、柱や梁(はり)などの建物躯体や設備を避けて、取り付けが可能。
ドレン配管には、空調の冷媒配管に使用される断熱材付き銅管を使い、これまでの樹脂配管と比較して、継手(つぎて)の接着・断熱材の巻き付けが不要となり、大幅に施工工数を減らせるという。
ダイキン工業の最近の取り組み:
» D2Cを本格化、顧客参加型商品開発プラットフォーム「DAIKIN LAUNCH X」開設
DK-BIMは、BIMモデル作成に必要な建築図面データとクラウド上にデータベース化されたダイキン工業製空調機器に関するデータを連携させ、熱負荷などの空調設計に求められる情報を自動で計算・選定する。これらの業務が自動化されるため、作業効率化や省人化に役立つ。
空調工事完成図書作成支援アプリは、ダイキン工業製の製品に関する機器図面や仕様書をクラウドから自動ダウンロード可能で、施主に提出する完成図書の製作で必須となるデータの取得を容易にする。
2020年秋には、「施工写真撮影機能」「試運転報告書作成支援機能」「工事完成図書支援機能」を実装する予定だ。
施工写真撮影機能は、専用アプリで撮影した現場の画像を工事工程順に自動編集し、施主への報告で必要な施工写真帳を作る手間を減らす。
試運転報告書作成支援機能は、ダイキン工業製機器の試運転のデータ収集と、現場で記録した情報を報告書に自動転記する。データの取得や書類作成を自動化し、報告書を作り上げる時間と作業量を抑えられる。
工事完成図書支援機能は、機器リストや図面、仕様書、工事写真、試運転報告書などを自動でまとめられ、施主へ提出しなければならない工事完成図書の仕事量を大幅に削減する。
将来的には、アプリとDK-BIMで作成したデータとの連動も視野に入れているという。
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