ダイダンと旭計装は、医療従事者の快適性を向上させる低コストかつ省エネを実現した手術室向け空調システム「からっとオペ」を共同開発した。
結露によるカビ発生や医療従事者の集中力低下を防ぐ
からっとオペは、従来の室内温度による制御に加え、除湿機能を備えており、梅雨時期に高湿度になりがちな手術室環境を改善し、不快感を取り除く。また、除湿時の冷えすぎ防止には、冷房の排熱を利用した省エネ性の高い室温制御を行うため、運転コストの低減にも貢献する。
開発の背景には、一般的に手術室の湿度は50%が目標値とされており、これを実現するには外気処理空調機を備えた高度な空調システムが必要となることが要因としてあった。しかし、中小規模の医療施設の手術室では、導入コスト・運転コストの観点から、温度制御のみで除湿機能を持たない空調システムを採用するケースが多くあったという。
こうした場合、外気が低温・高湿度になる梅雨時には、冷却による除湿が働かず手術室の湿度が上昇しがちだった。その結果、結露によるカビの発生や医療従事者の不快感による集中力低下などが懸念されていた。からっとオペは、除湿機能により手術室内の快適性を向上させるとともに、優れた省エネ性で運転コストの低減を図ることが可能になる。
からっとオペは、「冷房除湿+加熱」のダブルコイルの空調ユニットと、冷房専用のシングルコイルの空調ユニット、両ユニットの吹き出し空気を混合するミキシングユニットで構成。ダブルコイルのユニットは、冷暖フリーの汎用パッケージエアコンを応用することで、コストを抑えている。さらに加熱コイルは、冷房の排熱を利用するため、通常の電気ヒーターによる加熱に比べ、ランニングコストを大幅に低減する。
ダイダンは、からっとオペの販売目標を3年間で20セットととしている。
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