長谷工が障壁を乗り越え、マンションの“ライフサイクル全般”でBIMを活用できたワケ:Autodesk University Japan 2019(2/5 ページ)
「Autodesk University Japan 2019」の中から、建築業向けのセッションとしてセッティングされた長谷工コーポレーションの講演を振り返る。長谷工ではマンションのライフサイクル全般でBIMモデルを活用し、一気通貫での生産性向上を実現している。しかし、BIMを導入した当初は、膨大な手間が掛かっていたというが、これを解消すべく、Revitとオペレータをつなぐアドオンツール「H-CueB」を独自開発した。長谷工版BIMの要ともいうべき、H-CueBを徹底解剖する。
CADによる作図に比べ、約4.8倍もの手間が・・・
現実にはRevitで設計を行ってみると、CADの設計に対し、何倍もの手間がかかってしまった。堀井氏は、「BIMによる設計の第1号物件では、CAD作図に比べ、約4.8倍の手間が必要となった。この数値は、しばらくすると2倍程度にまでは下がった。設計者の慣れや作業環境の整備などがその理由だが、それ以降はなかなか削減することができなかった」と話す。
長谷工では、初期の段階からBIMのデータを完成後のさまざまな業務でも活用しようと考えていた。だが実現には、BIMモデルに多くのデータを取り込む必要があった。
その結果、「1GBを超えるデータがザラに出るようになり、ハンドリングが悪くなった。また、データの精度にも問題が起きた。BIMを多様な用途で利活用するには、データを正しく入力する必要がある。しかし、手作業では精度を確保するのが難しい。生産性を上げようとすると精度が落ちるような相反関係もあり、生産効率は上がらなかった」(堀井氏)。
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