設計・施工でBIM連携を成功させるには?矢作建設工業のケース:Autodesk University Japan 2019(1/4 ページ)
「Autodesk University Japan 2019」のセッションのうち、建築業向けのセッション矢作(やはぎ)建設工業の講演を紹介する。矢作建設工業では、設計・施工一貫でのBIM活用に取り組んでいる。講演では、意匠・構造の設計で作成したBIMモデルをその後の施工フェーズでもスムーズに使うにはどうすべきか、プログラミングツールDynamoを使用する利点など、実例を交えながら提案した。
Autodeskは2019年10月8日〜9日、東京都内のグランドニッコー東京 台場でプライベートイベント「Autodesk University Japan 2019」を開催した。2日目のタイムテーブルのうち、建築業向けのセッション矢作建設工業のBIM活用事例を紹介する。
データベースとしてのBIM活用を目指す
矢作建設工業は、愛知県名古屋市に本社を置き、東海3県(愛知・岐阜・三重)をメインに地域密着で建築施工を行っている名鉄グループの総合建設会社。創業は1949年で2019年には70周年を迎える。主な受注案件としては、大型の物流倉庫から、分譲マンション、ショッピングセンター、公共施設、ホテルなどの建築一式工事に加え、道路、鉄道、工業団地の整備などの土木工事も手掛ける。年間売上高は900億円ほどを見込み、中堅どころの建築会社といえる。
講演では、建築事業本部 施工本部 工務部から、工務部長代理・伊藤篤之氏と、BIM推進担当係長・太江慎吾氏が順に登壇し、BIMに対する社内での取り組みを紹介した。
伊藤氏は、設計BIMモデルへの対応と、そのデータを施工フェーズで活用する際の注意点や連携の事例を説明した。矢作建設工業では、伊藤氏が在籍する工務部を含めて、現時点でAutodeskのBIM ソフトウェア「Revit」を50ライセンス購入。同社では、設計・施工を一括で受ける比率がおよそ80%を占めるという。伊藤氏は、「BIMであれば、設計・施工から、その先のFM(ファシリティマネジメント)までを一貫して連携させられる。その効果を最大限に発揮する目的で、組織を横断したBIMプロジェクトチームを編成し、積極的に活用を進めている」と話す。
伊藤氏は、BIM活用のねらいを「データベースとしてのBIM」と定義する。これはRevitの機能を有効に使い、属性情報を重視することで、全体の効率化を目指すという考え方だ。実現に向け、今まで使っていたテンプレートを廃止し、約1年を費やして体制を整えた。
データベースとしてのBIMの思想は、Revitのアドインパッケージとして大成建設のBIM規格のノウハウを詰め込んだ「BooT.one」ともマッチする。伊藤氏は、これが設計・施工でのBIM活用の加速につながったと振り返る。
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