100m2を4時間で自動墨出しをするロボット、試験導入で3割の生産性向上:ロボット
竹中工務店は、自走式の墨出しロボットを建設現場に試験導入し、従来比で約3倍の生産性向上を達成した。今後、他社とのオープンイノベーションを通じ、墨出しロボットの製品化を目指す。
竹中工務店は、工事の基準となる線や位置などを床や壁に示す自走式の「墨出しロボット」を開発した。建設現場に試験的に導入して、ローコスト化や軽量化、従来比で約3倍の生産性向上を実現した。
墨出し地点まで自走する安価かつ軽量なロボット
従来型の墨出しロボットは、位置決めロボットの発するレーザで、墨出し地点までを誘導して墨出し作業を行っていたため、目的地に到達するまで時間を要していた。高機能なセンサーや描画装置、測量機器を装備することで、ロボットが高額・大型・重量化し、実現場への普及の障害となっていた。
今回、これらの課題を解決すべく、改良し試験導入した墨出しロボットは、安価かつ軽量で、墨出し地点まで直接自走する。搭載機能は厳選しており、システム、機械構成を見直しており、17キロまで小型化かつ軽量化させた。
墨出し方法は、市販のレーザ測量機が、レーザで墨出し地点を指定し、地点情報をWi-Fi通信で受け取った墨出しロボットが目的地まで自走して墨出しを行う。自動追尾機能を持たないレーザ測量機の利用をはじめ、X座標とY座標を与えてペンを移動させて図形や記号などを描く「ペンプロッタ方式」を採用しており、ロボット機器のトータルでイニシャルコストとランニングコストを低減させた。
OAフロアの部屋あたりの墨出し所要時間は、従来機の98秒から33秒に短縮され、従来比で約3倍の生産性向上を実現した。おおよそ4時間の稼働で、100平方メートルの墨出し作業を完了する。
また、職人が作業しない夜間に、墨出しロボットを無人で稼働させることで、職人が建築部材取付などの別の作業に充てるじかんがもたらされるメリットも生まれる。
試験導入した現場は、メルセデス・ベンツ日本と竹中工務店がコラボレーションし、モビリティとリビングの未来の形を具現化した東京都港区六本木の体験施設「EQ House」。OAフロアのサポート位置や設備用アンカー位置の墨出し作業(全92カ所)を実施し、問題なく施工できることを確認した。設計値に対する誤差は、平均2ミリ以下だったという。
首都圏の別の現場では、間仕切り壁取付け位置の墨出し作業(全62カ所)を試験し、同等の誤差で墨出しできることが実証されたという。
今後は、他社とのオープンイノベーションを通じて、OAフロアのサポート、設備用アンカー、間仕切り壁も含め、さまざまな墨出しに対応できる墨出しロボットの製品化を目指す。
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