“空の道”の整備進む、ドローン37台を運行管理システムに相互接続:ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト(2/2 ページ)
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」を推進している。この計画では、インフラ点検などの分野で活用できる無人航空機やロボットの開発、社会実装するためのシステム構築および飛行試験などを実施。物流ドローンが都市部で安全に使える環境の整備を目指している。2019年10月23〜24日、福島県南相馬市の「福島ロボットテストフィールド」で行われた運行管理システムの相互接続試験では、一般事業者のドローンとつなげることを成し遂げ、ドローンを危険なく扱える土壌をさらに整えた。
UIの改良は必須
記者発表会では、相互接続試験に名を連ねた一般事業者のワインデング福島、eロボティクス福島、東日本計算センター、名古屋鉄道の担当者が登壇し、コメントを寄せた。
産業用モーター部品を製造するワインデング福島は農薬を散布するドローンでエントリーした。タブレット端末の簡易操縦による完全自動航行・自動散布を可能にした機体で、イームズロボティクス製ドローン「エアロスプレイヤーAS5」をベースにしている。
マニュアル操作時には、オートでの離陸と着陸に応じており、農地の起伏に合わせて飛べる機能も有す。
ワインデング福島 代表取締役社長の清信正幸氏は、「システムの詳細は不明だったが、スタッフはAPI接続し、飛行計画を作れたので、実用性はある。要望としては、機体の仕様登録の簡略化や他のドローンと経路が干渉した場合のエラー、アナウンスを分かりやすくし、履歴から簡易的にプランを変えられるようにしてほしい。また、画面上の最新地図をクリックするだけでドローンを目的地まで運べれば、利用者が拡大するだろう」と助言した。
環境ビジネスを展開するeロボティクス福島とITベンダーの東日本計算センターは、共同で、気象観測用ドローンを用いて、自動制御による隊列飛行を遂行。搭載した各種計測装置で、メソスケール気象などの従来取得が困難だった3次元空間情報を収集するシステムについて研究した。
東日本計算センター 執行役員の中野修三氏は、「恒常的に、隊列を組んだ最大27台のドローンで測定をしており、他の機種と衝突する可能性を危惧していた。位置情報共有の有用性を測るために参加した」と振り返った。
感想と要望では、「それぞれのオーナーが、同一空域で特定のルートを予約し、フライトの確認をトランシーバーでやりとりしていた。このクラスの司令塔があれば、災害救助など有事の際にも、混乱なく、多機運用が行えると感じた。一方、今回のような監視者とレーダー、データ処理システムが無い場所での現場利用は課題がある」と語った。
名古屋鉄道と中日本航空は、NETISに登録されているレーザースキャナーを装着したDJIの「Matrice 210」で、地形計測に取り組んだ。
自動航行ソフトであらかじめ設定したコースを運行させ、オルソ画像と3次元データを得た。取り付けられたレーザースキャナーは、樹木の生い茂ったエリアでも、その下の地形を調べられ、有事の調査でも役立つという。
公共測量にも適応しているため、操縦士向け学習サービス「名鉄ドローンアカデミー」の講習でも利用されている。
名古屋鉄道 経営戦略部 事業プロジェクト担当 課長の岩田知倫氏は、「現時点における運行ドローン管理システムの完成度やユーザーに配慮した設計になっているかを確かめるために、テストに協力した。実用化へ一歩前進したと思う一方、UI(ユーザーインタフェース)はまだ粗削りで、使用ルールも不明確となっているのがボトルネック。国土交通省航空局のDIPS(ドローン情報基盤システム)との2重管理の解消やUTM(統合脅威マネジメント)の体制について議論が必須だ」と説いた。
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