NSW、DJI、MSが開発を進める建築物のドローン点検サービス、0.2mmのひび割れAI検出し3Dで表示:ドローン×AI
日本システムウエア、DJI JAPAN、日本マイクロソフトの3社は共同で、建築物の外壁調査を対象にドローンとAI技術を活用し、点検結果を3次元モデルで表示する「建築物メンテナンスサービス」の開発に乗り出す。既に実証実験が始まっており、一般的にひび割れの許容範囲といわれる0.2mm(ミリ)のひび割れ検出に成功したという。
日本システムウエア(NSW)、DJI JAPAN、日本マイクロソフトの3社は、ドローンとAIを活用した建築物の外壁ひび割れ診断「建築物メンテナンスサービス」の開発で協業することを決めた。
NSWのAI「CrackVision」と「Microsoft Azure」でひび割れ結果を3次元で表示
現在、建築物の外壁調査は、専門知識を有する技術者が目視や打診による点検を行っている。しかし、昨今の技術者の高齢化や少子化問題による人手不足が深刻になる一方、老朽化するインフラ・施設などの割合はますます増えることが見込まれ、建築物を安全に効率よく検査し、維持・管理に役立つ仕組みを作ることが求められている。
3社が協業することで、NSWのディープラーニングを活用したAIソリューション、DJIのドローンと空撮技術、日本マイクロソフトのクラウドプラットフォームの強みを融合させることで、外壁診断の効率的かつ省人化が実現する。
各社の役割は、NSWはAIソリューション「ToamiVisionシリーズ」の一つ、ひび割れ判定AIソリューション「CrackVision(クラックビジョン)」を提供。ディープラーニングによる建築物の“ひび割れ”を判定するAIエンジン作成とクラウドシステムを構築する。
CrackVisionは、PC上での“Edge処理”後に、クラウド処理という、ひび割れ検知が2段階に分離されているのが特長だ。現場でEdge処理により、損傷箇所がすぐに確認できるため、サイド撮影したい箇所などドローンの飛行ルートを見直すことが可能で、2度手間にならなず効率化につながる。空撮後は、クラウドを介して、より詳しいひび割れの位置、長さ、幅などの情報を後処理して、詳細なレポートに出力する。
DJI JAPANは、機体やノウハウの提供の他、2018年9月に開設したトレーニングセンター「UTC(Unmanned Aerial System Training Center)」で、外壁診断サービスに特化したドローン操縦者を育成するトレーニングカリキュラムも実施する予定。
日本マイクロソフトは、グローバルで既にDJI社と、AIおよびマシンラーニングをドローンに活用する戦略的パートナーシップを締結している。今回は、日本における第1弾として、NSWのAI点検CrackVisionのクラウド基盤となるプラットフォーム「Microsoft Azure」を用いて、実用化に向けた検証を後押しする。
3社による実証実験は既にスタートしている。実験では、ドローン撮影した建築物の全体画像を3Dモデル化し、AIで自動抽出したひび割れ箇所を重ね、損傷図を3次元で表示するシステムを構築した。実験結果では、ドローンの撮影画像から、コンクリート構造物の許容範囲といわれている0.2mm(ミリ)幅相当のひび割れ箇所が検出でき、実務に耐えるサービスだと証明された。
NSWでは、「可能な限り早期のサービス立ち上げを目指し、今後はより巨大な建築物に対しても適用できるように改善を図っていく」と話す。
また、3社はサービスの正式リリースを見据えて、専門家を交えた検証プロジェクトを開始。現在、共同開発者を募っている。
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