マルチ測定車「RIM」、路面の水たまり箇所や変状箇所を可視化:第14期 第11回出展技術発表会(2/2 ページ)
大林道路は、i-Constructionをはじめ、さまざま場面で3Dモデルが活用されている現状を踏まえ、路面やトンネル、橋梁の点群データが取得できるマルチ測定車「RIM」を開発した。水たまり箇所を特定する機能や道路の凹凸を見える化する技術「コンター」を搭載しており、さまざまな用途に使えることから業界でも注目されている。
RIMは交通規制が不要
RIMの路面変状チェックは、表面の凹凸を多様な色で描画する技術「コンター」を利用。コンターは厚みのレベルから、ひび割れ、補修箇所などを可視化する。
「コンターを用いることで、ひび割れと路面変状の関係性や位置を視認化する。エプロンと舗装端部との間に生じる段差の規模も図で示せ、段がある部分は無色で表示されるため、分かりやすいのも利点だ」(青山氏)。
RIMによる水たまり箇所の特定は、水の流れを表す矢印を道路の図に組み込める機能。矢印は色の濃さで傾斜の大きさを描き出し、その複数が一定の方角を向いていないエリアを水たまりが起きる地点として絞り込める。
換気孔を閉塞するために位置とサイズを調べた工事でのRIMの事例について、青山氏は、「このトンネル工事は当初、定置式レーザースキャナーで実施する予定だったが、作業するのに交通規制をかける必要があったことと、2日を要するということが懸念事項になり、RIMが採用された。RIMは走行しながらの測量に対応しており、交通規制が不要で、測定も1日で完了し、高い評価を得た」と振り返った。
さらに、「得られた3Dデータから換気孔開口の位置と形状、トンネル躯体壁面のポジション、天井の場所と高さ、路面白線部とレベル高を算出し、上面平面図と断面図を作成した」と補足した。
橋梁の事例は、アスファルト舗装の破損が危惧される要素の発見を目的として、舗装前にコンクリート床版をRIMで調べたというもので、コンターを使い、橋の表層と下層の状態を浮き彫りにした。
青山氏は、「評価工区の擁壁4隅から割り出した平均面をRIMで測ったデータを基に、コンターで色付けした図を作った。この図から、コンクリート床版、基層(レベリング層)、防水層の現状を弾き出した。結果として、コンクリ―ト床版の施工精度が防水層に悪影響を与えていることと、レベリング層にダメージが及んでいないことが判明した」と解説した。
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