“計測車両MMSで点群”を取得するインフラ維持管理システムを“静岡空港”で検証、「空港版インフラドクター」:MMS
東急電鉄と富士山静岡空港は2019年3月13日、次世代型の施設運営・管理モデル構築を目指す「静岡空港」で、3D点群データと高精度カメラを活用した空港保守管理業務の省力化システム「空港版インフラドクター」の実証実験を開始した。
東京急行電鉄(東急電鉄)、首都高速道路、首都高技術に加え、東急電鉄が出資して2017年に設立したグローバル・インフラ・マネジメントは、空港に関わる構造物や設備などの保守点検および管理作業の精度向上と効率化を目的に、首都高グループが開発した「道路構造物の維持管理システム(インフラドクター)」を活用した、空港保守管理業務の省力化システム「空港版インフラドクター」の開発を進める。
滑走路勾配と路面性状の調査を同時に、大幅な省力化を見込む
インフラドクターは、レーザースキャンで得られる3次元点群データと地理情報システム(GIS)を連携。異常箇所の早期発見、構造物の3次元図面作成、個別台帳で管理してきた図面や各種の点検・補修データの一元管理ができ、構造物点検の作業や維持補修計画の立案などの効率が大幅に向上するシステム。
インフラドクターを活用することで、人力でデータの取得を行っていた滑走路などを対象とした勾配調査の作業時間の短縮化が期待され、これまで別作業として行っていた路面性状調査(滑走路などのひび割れや、わだち掘れなどの調査)も同時に行えるようになる。これにより、各種の空港保守点検作業が、大幅に省力化されることが見込める。
空港版インフラドクターの共同開発に向け、2019年4月から東急電鉄などが運営を開始する静岡空港で、2019年2月下旬に計測作業を開始している。
今回の計測では、120ha(ヘクタール)の空港内を対象に、空港の滑走路・誘導路・駐機場(エプロン)・場周道路の全面で3次元点群データの取得を行うとともに、滑走路と駐機場の一部で路面性状調査を実施。路面性状の調査では、車載写真レーザ測量システム(MMS:モービルマッピングシステム)で3次元点群データを取得した他、高精度のラインセンサーカメラを装備し、高精細画像からひび割れなどを検出した。実証期間は2019年2月〜2020年3月の予定。
インフラドクターの他分野への活用としては、伊豆急行線や東急線の鉄道領域でも検証が行われた。両線では既に計測作業が終了し、レールや架線、ホームなどの3次元点群データ化が完了。現在は、建築限界の自動検出など、鉄道保守点検の省力化を目指したシステム開発のフェーズに入っているという。
今回、実験の場となった静岡空港は、次世代型の施設運営・管理モデルの構築を目標にしている空港。インフラドクター以外にも、2019年度内にソフトバンクロボティクスが提供するAI清掃ロボット「Whiz」の導入も決定している。
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