大成建設がMSと協業、初手は地震による建物への影響や作業員の現状などを“見える化”:CEATEC 2019(2/2 ページ)
大成建設は、運用・保守事業も行える体制を整備し、これまでの建物の引き渡しだけでなく、建造物のライフサイクル全体を収益元の対象とするストック型ビジネスの展開を検討している。
CAFMとBIMを施設管理システム
施設の統合運営管理では、大成建設のファシリティマネジメントソリューション「CAFM(Computer Aided Facility Management)」とBIMを組み合わせた次世代のシステムを作り上げていく。CAFMのタイプの異なる情報(図面や書類の写真、CADデータなど)を関連付けられる機能とBIMの3Dモデルの利点を生かし、設計図・紙の情報からのBIM化・データベース化、ダッシュボード表示を可能にし、建物の現状を可視化し、効率的な運営をサポートする。
さらに、Microsoft AzureとWindows 10 IoTをベースにした日本マイクロソフトのビル向けサービス「スマート・ビルディング・ソリューション」のUIやBIを活用することで、より視認性の高いシステムにしていくという。
現在、大成建設では物件の運営管理費を最小化するため、大成有楽不動産などのグループ会社と連携し、このシステムの構築と提供を検討している。今後は、日本マイクロソフトと、設計・施工・運営管理をパッケージ化したビジネスモデルを推進し、顧客の資産価値の維持、向上にも努めていく。
生産施設における従業員の作業状況の“見える化”では、従業員の心拍、体温、姿勢などの身体の状態、所在、作業環境のデータをセンサーやトランスミッター、スマートフォンで収集し、Windows 10 IoTベースのエッジデバイス経由で随時取得してMicrosoft Azure上に蓄積し、関連情報をモニタリングするシステムを作成する。
モニタリングで集めたデータを基に、AIによる分析などを実施することでスタッフの作業負荷の軽減や労働環境を改善するための効率的な計画の立案、業務の状況を考慮した動線・レイアウトなどを検討し、最適な指示や行動の提示を支援する。
将来的には、製造・エネルギー管理システムなどの他のIoTサービスと連携し、ビッグデータとして総合的解析できる構造を作り、ユーザーにメリットのある情報として供給することも見込んでいる。
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