戸田建設が開発した加速度センサーを用いた地震モニタリングシステムを公共施設に初導入
戸田建設は、自社開発の地震モニタリングシステム「ユレかんち」を東京都の東久留米市にある生涯学習センターに設置した。公共施設に設置した初めての導入事例となる。
戸田建設は、地震モニタリングシステム「ユレかんち」を公共施設での初導入として、東京都の東久留米市にある生涯学習センターに設置した。
地震の揺れを加速度センサーで計測しクラウドにアップ
地震モニタリングシステムのユレかんちは、2015年に開発したシステム。独自のセンサーである「ユレかんちセンサー」を所定の建物に据え付けて、地震発生時に建物加速度を測定する。
地震時には、建物の動きを加速度データとして感知し、それをインターネット回線でクラウドサーバに送り、クラウド上では建物震度として計算し、過去の被災度データとの比較で建物の安全性を判定する。ユーザーには、PCやスマートフォンで表示するとともに、建物の健全性を通知する仕組みだ。
ユレかんち自体は2015年の製品化から、自社の所有施設や設計・施工を手掛けた建物に展開しており、2019年2月までに日本全国で67物件の建物に計130台を設置したという。
2018年6月18日に発生した「大阪府北部地震」や同年9月6日の「北海道胆振東部地震」の際、戸田建設の大阪支店や札幌支店にある“ユレかんち”が震度を観測。北海道での観測データは、耐震工学研究へ役立てるため、同社のWeb上で公開している。
今回の東久留米市生涯学習センターへの導入は、公共施設への事例としては初。東久留米市では、市役所の地下に地震計が既に設置されているが、情報の正確性確保と建物の健全性を把握することを目指し、市役所近傍の生涯学習センターに設置することになったという。
センターの震度情報や建物の健全性は、クラウドを経由して市役所でモニタリングが可能。今後は、市の施設に複数設置することで、震災時の対応能力の向上が検討されている。
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