ロックボルト用引抜き試験システム「スマートジャッキ」、軽量化やICT化で作業性を向上:第14期 第11回出展技術発表会
ケー・エフ・シーは、トンネルにおけるロックボルト打設時に行う引抜き試験の効率化を実現するシステム「スマートジャッキ」を開発した。スマートジャッキは、軽量化や省人化、ICT化を可能としており、作業性を高められるため、業界でも関心を集めている。
国土交通省 関東地方整備局は2019年10月3〜4日、千葉県松戸市の建設技術展示館で、公共工事に関わる技術者の知識習得と技術の普及を図ることを目的として「第14期 第11回出展技術発表会」を開催した。
ケー・エフ・シー 技術部 加須技術研究所の木村勇輝氏がロックボルト用引抜き試験システム「スマートジャッキ」を紹介した講演「ICTを利用した非破壊装置“スマートジャッキ”」を取り上げる。
従来品と比較して約40%減の重量
トンネルのロックボルト打設時に発生するゆるみ領域の確認はこれまで、重い引抜き試験装置を使用しており、落とした際に危険だった。この装置の軽量化とICT化を実現したのがスマートジャッキ。従来品の23キロと比較して約40%減の13.7キロとし、角度調整球座を用いた落下防止補助機能を有している。
これまで、手動式ポンプを使うため2人で進める必要があった業務をトリガー式の電動ポンプを利用することで、1人で行える。慣例となっていたPCへのデータの手入力も不要で、荷重と変位を自動計測し、取得情報を構成機材のトランスミッターからBluetoothでPCに送信できる。トランスミッターの他に、センターホールジャッキと充電式ポーターブル油圧ポンプでシステムが構築されている。
木村氏は、「これまでの引抜き試験装置は、上向きに取り付ける場合、球座やセンターホールジャッキ、プレートが地面に落ちるのを防ぐため、抑えるスタッフとナットで固定する要員が必須だ」と説明した。
加えて、「一方、スマートジャッキは、まず、テンションバー、角度調整台座と球座を指定のエリアにセットする。角度調整球座はロックレバーにより仮固着できる。センターホールジャッキやテンションバーナットを装着し、球座ロックを解除した後に、専用マグネットスタンド付き変位計を搭載。充電式ポータブル油圧ポンプ、トランスミッター、専用タブレットを接続する。充電式ポータブル油圧ポンプのトリガーを引いて載荷し、計測は設定された荷重ごとに自動的にPCに記録される。載荷試験中にリアルタイムで荷重・変位関係をPCの画面で確かめられる」と続けた。
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