“マンハッタン”の住宅街で技研の圧入工法が初採用:圧入工法
技研製作所が製造・販売する杭圧入引抜機「サイレントパイラー」による圧入工法が米ニューヨーク・マンハッタンの住宅街で初採用され、2019年8月17日に圧入工事が完了した。工事中に無振動かつ無騒音で、コストダウンと工期短縮が可能なことが導入の決め手となった。
技研製作所の杭圧入引抜機「サイレントパイラー」による圧入工法が、米マンハッタンの住宅街の工事に初めて採用された。2018年9月に、グループ企業のGiken America(技研アメリカ)と、圧入工法の普及拡大に向けた協働契約を交わしたニューヨークの建設コンサルタントMueser Rutledge Consulting Engineers(MRCE)との協働で実現に至った。
ソイルミキシング工法に比べコスト半減、工期短縮を実現
圧入工法を採用した案件は、マンハッタン島南東部の学校やマンションが立ち並ぶ住宅街にある公園の地下に、ボイラー設備を建設する工事。名称は「83-89 COLUMBIA STREET BUILDING #3 NEW BOILER PLANT & SITE WORK」で、設計をニューヨークでも権威のある建設コンサルタント/地盤工学エンジニアリング会社のMRCEが担当し、2019年7月中旬〜8月中旬に鋼矢板による土留め用の締切り壁を構築した。
米国では鋼矢板の施工機械は、振動・騒音を伴うという認識がいまだに根強く、ニューヨーク市では隣接構造物から15メートル以内の基礎工事に、低振動・低騒音工法の使用を義務付けている。
マンハッタンの工事でも、当初は低振動・低騒音の「ソイルミキシング工法」でのコンクリート壁が検討されていたが、技研アメリカによるVE(Value Engineering)提案で、無振動・無騒音かつ原設計に対して約50%のコストダウンと工期短縮が可能な圧入工法による鋼矢板壁が導入されることとなった。
施工にあたっては、工事を請け負ったPeterson Geotechnical Construction(ピーターソン・ジオテクニカル・コンストラクション)に、技研アメリカから圧入機「サイレントパイラーF401-1400」のレンタル提供と、技術指導員を派遣して工事が進められた。圧入した矢板の型式・寸法は、形鋼矢板長さは50ft(15.2メートル)の「ZZ26-700」で、77枚を使用した。
技研製作所によると、「(圧入工事完了後には)ニューヨーク市内の発注者や設計コンサルタント、施工業者から、同様の条件下での問い合わせが増えており、都市部を対象とした圧入工法の優位性を周知する絶好のモデルケースとなった」として、適用可能なプロジェクトの調査や設計提案を積極的に行っていくとしている。
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