鋼矢板を連続して圧入する「拘束地盤免震」を採用した“技研製作所の新社屋”が完成:免震
技研製作所は2019年2月25日、インプラント構造の連続壁による免震技術「拘束地盤免震」を用いた高知本社新館が完成したことを公表した。
地下に鋼矢板を連続して圧入する免震技術「拘束地盤免震」を採用した技研製作所の新社屋が完成した。
建物直下の地盤を締め切って拘束、液状化による地盤流動を抑止
拘束地盤免震は、建物の周囲にインプラント構造となる鋼矢板を連続して圧入し、建物直下の地盤を締め切って拘束することで、地震動の衝撃を緩和させる免震技術。液状化による地盤の流動を抑止することにもつながり、沈下を抑制して、建物の変位を抑える効果がある。鋼矢板は長さ5m(メートル)で、370枚を圧入した。
連続壁と地盤内には、グループ会社であるシーアイテックがセンサーを設置。鋼矢板の変位や地震動を常時計測し、完成後に構造物の健全性評価と維持管理に用いる技研製作所が構想している「神経構造物」としての検証も行うという。
新社屋は鉄骨造2階建てで、建築面積は552m2(平方メートル)、延べ床面積は1090m2。社屋には、100人分のオフィススペースと、会議室、書庫などを備える。技研製作所の主に製品設計に関わる開発部門を集約し、業務の効率化と生産性の向上を目指す。
また、社屋横の敷地には2018年8月にリニューアルした耐震地下駐車場「エコパーク」と可搬式駐輪システム「モバイルエコサイクル」を併設し、新社屋のピロティ部分を車両動線とすることで、同社の技術を効果的にPRする。さらに非常用の備蓄倉庫も整備して、災害の際には約300人の避難者を受け入れる。
技研製作所では、本社屋について「拘束地盤免震を用いた実証施設として活用し、ジャイロプレス工法を導入する高知第3工場の建設とともに、建築分野へのさらなる展開につなげていく」としている。
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